東北大学と筑波大学は3割が年内入試

では国立大はどうだろうか。難関大の多くで入学者の8割以上が一般選抜というなか際立つのが、総合型での入学者が3割近くある東北大学だ。

『プレジデントFamily2025春号』(プレジデント社)
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「東北大学は総合型選抜(名称:AO入試)に力を入れています。過去問を見るとわかりますが、相当高い学力が求められる選抜性の高い入試です。一般選抜で入れない学力の子に大きなチャンスがあると考えないほうがいいです。総合型で不合格だった子が一般選抜で合格することが珍しくありません」(加納さん)

ほかには筑波大学も公募制推薦を拡大している。

「東北大と筑波大は、それぞれ学長が、総合型や面接と論文を中心とした入試に全面的に移行したいと発言しています」(井沢さん)

また、国立大学協会は年内入試を30%にする目標を掲げている。今後、増えていく方向とはいえるだろう。

「難関大の多くは、年内入試は募集人員が少ない少数精鋭の入試です。受験チャンス増ではありますが、一般選抜の対策も並行して進める必要があります」(加納さん)

そのほか、入試の新しい動きとして注目されているのが女子枠だ。国立大の3割がすでに導入している。

「理工系で女子対象の総合型・推薦型が急増しています。24年に東京工業大学(現・東京科学大学)が導入し、25年には149人に枠を広げて大きな話題となりました」(加納さん)

「26年には京大も理学部15人、工学部24人の女子枠をつくります」(井沢さん)

さらに、現在拡大しているのが入試における英語外部検定の活用だ。

「6割以上の大学が入試で英検などの英語外部検定を利用しています。総合型・推薦型だけではなく、一般選抜での利用も増えています。取得級やスコアに応じて英語の試験の得点に換算したり加点したりします。取得級などが出願資格になっていることも。英検なら準1級を取得できれば、難関大でも相当有利な受験戦略を立てられます」(加納さん)

かなり複雑な大学入試だが、親はどう準備しておけばいいのか。

「20年と24年とを比べると、私立難関大の一般選抜の倍率は全般的に低下しています。不安がらずに、子供の興味を応援してやることをお勧めします」(加納さん)

「今の小学生が大学受験をする10年後には、現在の大学地図とは違うものになっていると思います。もしかしたら、海外の大学を狙うというご家庭も増えるのかもしれません」(井沢さん)

専門家2人がそろって勧めてくれたのは本を読むこと。豊かな教養と幅広く興味・関心を持つことが重要なのは変わらないようだ。

次のページからは、私立・国立難関大学の入学者がどんな入試方式で入学したのかを一覧にしている。