一方、国立大学はどうだろうか。

【図表4】複雑な入試方式を理解しよう!

「国立大でも総合型や推薦型は増えてはいますが、まだ8割ほどが一般選抜です。東京大学・京都大学をはじめとする旧帝大などの難関大では9割以上というところが多い」(加納さん)

難関大では、まだまだ一般選抜が主流であることがわかる。

総合型や公募制で注目の私立大は

では、総合型や公募制の募集が比較的多い私立大を詳しく見てみよう。

「早慶MARCHといった難関大では、年内入試の募集人員は多いとは言えません。注意してほしいのは、総合型や公募制を導入しているかどうかは大学によっても異なり、同じ大学でも学部・学科によって異なることです」(加納さん)

たとえば、早稲田大は大学全体では総合型は4.7%だが、英語で学ぶ国際教養学部は約46%。慶應義塾大は大学全体では9.4%のところ総合政策学部・環境情報学部はともに35%が総合型だ。「慶應義塾大はほかにも文学部の自主応募制推薦や法学部のFIT入試も募集が多いです」と加納さん。

「上智大学は全学部・学科で公募制推薦を実施。大学の入学定員に比して、募集人員も多い。年内入試の門戸は広いと言えます」(加納さん)

ほかに、立教大学、立命館大学、関西大学、関西学院大学も全学規模で年内入試を実施している。

では、一般選抜の中身は親世代が受験生だったときと変わっているのか。

「早稲田大は、昔は重箱の隅をつつくような問題といわれていましたが様変わりしました。大学入学共通テスト(以下、共通テスト)で数学が必須となり話題となった政治経済学部は共通テストと総合問題のみです。基礎学力は共通テストで見て、各学部が欲しい能力を独自問題で見る形が上位大学の主流になりつつあります」(井沢さん)

総合問題とは、一つの教科に限定されない横断型の問題。早稲田大の政経では、資料の読解や長文記述(英語含む)が出題される。ほかにも、上智大や青山学院大学も共通テスト+総合問題による入試がある。

「共通テストと思考力を見る論述型の入試にすることで、東大などの難関国立大志望の優秀な高校生が併願しやすくしているのだと思います」(井沢さん)

また、私立大の入学者のなかで大きな割合を占めるのが、「指定校」「付属・系列校」推薦だ。

「優秀な受験生を早期から囲い込むために、高校と提携して付属校化したり、指定校を増やしたりする動きがあります。子供が小学生なら、中学受験で指定校推薦枠を多く持っている学校を選ぶというのも手です。説明会に行くと、教えてくれることも多いです」(井沢さん)