アベノミクスが個人所得を全般的に押し上げるまでに、2年はかかるといわれている。郊外のファミリーマンションの価格が上がっても、需要がついていけるのは、少なくともそれ以降。また、そのときに住宅ローンの金利が上がっていれば需要は盛り上がらない。そして今の金利動向を見ていると「先高」という感じが拭えない。
したがって、郊外エリアでは「今すぐ買う」という選択は、ほぼないと考えていい。じっくりと気に入った物件を探すことである。
待つべき場合は…
都心の中古住宅は値上がり傾向。
来年の反動減まで「待ち」もあり
大都市圏の都心部で中古住宅の購入を考えているケースでは、今はあまり時期がよくないと思う。売主側が強気になっているからである。
中古住宅というのは一戸建てにしろマンションにしろ、個人が売主のケースが多い。特に売り急いでいる場合を除くと、彼らは「少しでも高く売ろう」と考える。そして「この先、アベノミクスで景気がよくなれば、所有不動産は値上がりする」と予想している人が多い。つまりは売り惜しんでいる。だから、人気エリアでは流通物件が減少気味だという。こういうとき、中古価格は高くなりがちである。
今、アベノミクス効果で多くの人々が不動産の購入に動いている。特に株価上昇で潤った個人投資家が、都心のマンションや投資用の収益物件をどんどん購入している。また、円安によってアジア系の投資家も日本の不動産を買いはじめた。一部海外からのファンド資金も流入していると聞く。そして、マンションデベロッパー大手は都心でマンション事業用地を買い漁っている。
まさに「バブルの再再来」を思わせる現象が都心の一部で起こっているのだ。都心エリアで売り出されている一般の中古住宅価格も、それにつられて値上がりしている気配が濃厚。そのうち統計数字になって表れるだろう。しかし、この現象はいつまで続くのか?
これは新築にも中古にもいえることであるが、住宅市場は2014年4月からの消費税増税後に必ず「反動減」に見舞われるはずだ。自分や家族が暮らすために住宅を買おうと思っていた人が、一斉に購買行動を控えるようになるからである。
私はここで、過熱していた住宅市場がいったん冷却されると予想している。本来、個人間取引なので消費税増税にはほとんど関係ない中古住宅市場も、つられて冷えるだろう。したがって、都心エリアで中古住宅の購入を考えているのなら、来年まで待ってみるのもひとつの選択肢である。