キャリアの方向転換が奏功
演奏家は、演奏会に出ることが実績になり、また、仕事仲間との出会いの場にもなるので、そこから新たに次の仕事の機会が生まれることも多々あります。ですから仕事を絞ったことで、彼のキャリア上の機会が奪われたことはあったかもしれません。でも、以前のような働き方は、夫婦にとっても家族にとっても、サステナブル(持続可能)とはいえませんでした。
結局夫はその後、音楽大学に職を得ました。教授としての仕事をメインにして、そのかたわらで演奏活動を行うようになったのです。働き方や収入は安定しましたが、それまでと比べると演奏家としての活動は減り、本人としては思うところもあったのではないでしょうか。ほかの演奏家仲間が、多くの演奏活動をしている様子を見て、複雑な気持ちになることもあったことでしょう。
しかし、その数年後に新型コロナのパンデミックになり、アメリカだけでなく多くの国でロックダウンや外出自粛の措置が取られました。1年以上もの間、あらゆるコンサートはキャンセルになり、人前で演奏する機会もなくなりました。
もしも演奏家の仕事がメインだったら、経済的にも精神的にも、大変苦しい状況に陥っていたと思います。「あのタイミングで演奏オンリーのキャリアから方向転換していてよかった」と胸をなでおろす夫を見て、人生、何が功を奏するかわからないものだなと気付かされた出来事でした。
夫婦げんかは子どもから隠すべきか
夫に、仕事の仕方を変えてほしいと伝えたのは、長男がまだ赤ちゃんの時でしたが、いずれ子どもたちが大きくなったら、「ママとパパは昔、こんな話し合いをして、働き方を変えたのよ」と伝えようと思います。
以前、「夫婦げんかを子どもに見せていますか?」と質問されたことがあるのですが、私の答えはイエスでもありノーでもあります。

