女子は数学に向いていないのか?
巷では、「女子は数学に向いていない」と言われがちです。私も「女子なのに数学が得意なんだね」と言われたことがあります。
そういった人たちが性差をどのような点に見出して発言しているのかは想像の域を出ませんが、数学が、解法・ポイントを積み重ねたうえで、出題者とのコミュニケーションをすることによって完成する、努力の結晶であるという認識をもとにすると、こうした世間の風潮を真に受けて、女子が「どうせできないから」と思って数学の勉強をあきらめてしまうのは避けたいものです。
数学に苦手意識を持ってしまっている方も、出題者とできるだけ誠実なコミュニケーションを目指すつもりで、問題に取り組むところから始めてみてはいかがでしょうか。
そもそも、なぜ人は数学が苦手になるのでしょうか。
ある問題の解法を丸暗記して試験に臨んでいる場合、その問題と似た問題が出たときは丸暗記した解法をあてはめたら、うまく正答を導き出すことができたとしても、少し捻った問題ではそのまま解法をあてはめることができず、解けずに嫌になってしまった、ということもあるかもしれません。
解法を丸暗記するだけではダメなのです。「解法のポイント」を理解していなければ、数学は解けません。
裏を返せば、「解法のポイント」の習得を積み重ねれば、数学は苦手科目ではなくなるでしょう。
自分の頭の中に、使える「解法のポイント」をたくさん持っておいて、どんな問題が出てきても対応できるようになる。そんな対応力を身につけることが、高校数学の勉強のゴールだと思います。それは性別とは全く関係ないことではないでしょうか。
なぜ高校で数学を勉強するのか
ここまで述べたことは、「なぜ高校で数学を勉強するのか」という問いにもつながってきます。
なぜ数学の問題を解かせるのか。その生徒の、何の力を、テストで判断しようとしているのか。私は、それは次の「二つの力」だと思っています。
一つは、「解くためのポイントを理解して、解答を導き出すための論理を組み立てる力」。そしてもう一つは、「自分の持っている解法のポイントを、求められている形でアウトプットする力」。
数学の解答では、論理の飛躍は認められません。自分の思考過程を、相手にきちんと伝わるように書く必要があります。
いわば、「相手にわかるように説明する力」が求められるのです。私は、この二つの能力を磨くために、高校で数学を勉強しているのではないかと思っています。
大学に入ってから、数学を使ったことはほとんどありません。複素数平面や解と係数の関係が、一般の方の日常生活に役立つ、ということはあまりないでしょう。
ではなぜ勉強するのかと言うと、数学そのものより、数学の解答を記述する際に求められる力を身につけるためだと考えます。その点、知識を問う理科(の一部)や社会とは全く異なります。
そして、独学で学ぶのではなく、学校や塾に行く理由も、「解くためのポイントを理解して、解答を導き出すための論理を組み立てる力」と関わっているのだと思います。


