小売業界は「ブラック」と言われるが…
小売産業は「低賃金・長時間労働の代名詞」とされ、顧客対応プレッシャーも高いと言われる。実際に、離職率が高く、3年以内離職率も30~50%という高水準も珍しくない。しかしニトリでは、10年以上にわたり10%台半ばであり、業界内でも群を抜いて低い水準だ。
また、2024年入社における東京配属者の大卒初任給は27万円であり、全産業平均(同24.8万円)と比較しても競争力の高い水準だ。2025年入社ではここから2万円増の29万円であり、優秀層の学生も納得できる給与額だといえそうだ。
さらに休暇日数も増加傾向だ。年間休日は過去10年間で5日増えて120日となり、大手企業平均(従業員1000人以上)である117.1日を超える水準だ。有給休暇の付与日数(ニトリ20日、大手企業平均16.9日)、平均有給消化日数(ニトリ12.2日、大手企業平均10.1日)も大手企業の一般的水準を上回り、人手不足が叫ばれる中で総合職求人倍率が30倍を超えているのも頷ける。
「出身大学データ」から見るニトリ就職層
こうした背景や人気ランキングの結果とは裏腹に、新卒採用におけるいわゆる「高学歴比率」は低い。2024卒の総合職採用1013人のうち、東京一科はたったの1%未満、地方旧帝と早慶上理まで合わせても12%にすぎない。逆に言えば、こうした大学出身者は貴重なので、企業内で重要ポジションを狙いやすい可能性がある。なお、北大の採用人数が突出して多いが、これは北海道発祥の企業ならではのトレンドといえそうだ。
ボリュームゾーンはMARCH・関関同立(マーカン)で、合わせて21%を占める。特に立命館大は就職者数1位である年も多く、この傾向は10年以上大きく変わらない。
2024年度の採用実績を見てみると、関関同立4校の合計採用者数がおよそ120人に上っており、MARCH5校の合計(80人弱)を大きく上回っている。
その背景は、ニトリの店舗網の全国展開から読み取れそうだ。2021年時点で日本国内に693店舗もの店舗網を持つが、2020年期には関西地方に9店舗もの新規出店を行うなど西日本エリアでの事業拡大に積極的なことがうかがえる。こうした流れもあり、首都圏の「早慶MARCH」に匹敵しうる人数を関関同立の4校から採用しているのではないか。


