いわゆる「有名大」からの採用は3割程度
首都圏の有名私大を見ると、早稲田大からの採用の多さが目立つ。
これは2010年にニトリが同大で開講した「寄附講座」の影響が大きいといわれている。寄附講座を開講した翌年(2011年)には東大2人、京大5人、慶應大6人と並ぶなか、早稲田大だけは23人就職と突出した結果となった。開講から15年が経過するが、今でも同大からの就職者は多い。
他方で、東京一科・地方旧帝・早慶上理・マーカンは新卒採用者の3割程度にとどまり、日東駒専と産近甲龍まで含めても半数に満たない。残りの半数は、ここに挙げていない地方の有力大学からの採用も多い。
また、入学偏差値30台のいわゆる「BF(ボーダーフリー)大学」からも広く採用しており、複数人採用実績のある大学も少なくない。幅広い客層に愛されるBtoCビジネスということもあり、難関大学に限らず広く門戸が開かれている“ドリーム企業”でもあるのだ。つまり、建前としての「学歴不問」を掲げるのではなく、実績として大学名にこだわらない懐の深さを備えた企業だといえよう。文系就活生の中で広く支持されているには、相応の理由が存在するといえる。
「体で覚える」ガテン系の育成スタイル
ニトリの面白い点は、採用後の育成スタイルだ。総合職だけでなく理系IT職ですらも、物流部門や店舗での現場研修が1年半にわたり課されている。「20代は体で作業をマスターする時期」という企業哲学のあらわれの一つであり、現場の泥臭いオペレーションを理解してこそ、真の経営感覚が身につくと考えている。
こうした長期にわたる現場配属は、意識だけが高い学生には受け入れられないケースも多く、幅広い学校歴人材を採用する理由の一つと言えそうだ。
新卒採用だけでなく、キャリア採用でも「ルールを守るお利口さん」より「挑戦し続ける野武士」が好まれる。ルールを守るのは当然であるが、その上で型破りな発想・行動力で抜本的なオペレーション変革が強く期待されているのだろう。


