「その会社ならではの福利厚生で、トップの思いを伝えましょう」。こう話すのは、税理士で経営コンサルタントの中島祥貴氏。福利厚生制度の“活用”で人材と組織のモチベーションを上げる。しかも節税効果により、社員も会社もメリットを得る方法があるという。「いい人材が採れなくて……」と悩む中小企業経営者も注目だ。

福利厚生の施策を
新たな“投資”と考える

──中島さんは「福利厚生制度の充実」を提唱しています。なぜでしょうか?

中島 中小企業の経営者の方々と話していると、多くが“人材”のことで悩んでいます。「リーダ―シップをもった人材が欲しい」「せっかく育てたのに有能な社員が辞めてしまう」「優秀な人はどうすれば採用できるのか」などなど。厳しい時代だからこそ、社員に期待する部分はやはり大きいですね。

 そこで私が訴えているのが、“社員の満足度を上げる”ための福利厚生制度の充実なのです。「それには、コストがかかるのでは──」と皆さん最初は思われます。しかし、その手法や手順を説明し、実際にシミュレーションした数字を示すと、興味を示されますね。

──確かに福利厚生には会社の負担が増えるというイメージがあります。

中島 過去、バブル期などには社宅や独身寮、保養所といった「ハコモノ」へお金をかけた時代がありました。しかし今の福利厚生は考え方が違います。社員の能力開発やダイバーシティなどに重点を置いた“手堅い福利厚生施策”で、費用対効果を上げている。ご存じのように福利厚生メニューを自由に選択できる「カフェテリアプラン」が広がり、また社内のクラブ活動や社員旅行などのイベントに興味を示す若者も増えています。福利厚生は形を変え、“新たな投資”として見直されているのです。またやり方によっては、給与にかかる税金や社会保険料を減らすことも可能です。社員の手取りが増えるだけでなく、会社の経費も圧縮される。福利厚生の施策には、そうしたメリットも秘められているのです。


元気な中小企業を目指して
制度や仕組みをフルに活用しましょう


中島祥貴●なかしま・よしたか
ブレインパートナーズ(株) 代表取締役
中島税理士・行政書士事務所 代表
1973年鹿児島市生まれ。大学卒業後、大手税理士法人などを経て2004年に税理士事務所を開設。「黒字経営コンサルタント」としても活躍中。