賛否両論を巻き起こした橋本環奈主演のNHK連続テレビ小説「おむすび」が完結。3月31日から今田美桜主演の「あんぱん」が始まる。朝ドラに詳しい田幸和歌子さんは「橋本さんと今田さんは同郷で同世代。そのふたりが続けて朝ドラヒロインになることに運命的なものを感じる」という――。
『NHKドラマ・ガイド 連続テレビ小説 おむすび Part1』プレスリリースより
『NHKドラマ・ガイド 連続テレビ小説 おむすび Part1』プレスリリースより

難しいチャレンジをし、数字は取れなかった「おむすび」

「平成生まれのヒロインが栄養士として人の心と未来を結んでいく」という謳い文句で半年前にスタートした、根本ノンジ脚本×橋本環奈主演のNHK連続テレビ小説(通称「朝ドラ」)「おむすび」(NHK大阪放送局制作)。

もともと現代設定の朝ドラはハードルが高いものだが、「ギャル」と「栄養士」、さらに「震災」「コロナ禍」などの食い合わせの難しさには、スタート時から厳しい見方が多く、数字上でも歴代朝ドラの中で平均視聴率ワースト更新という不名誉な結果になりそうだ。

その一方で、放送開始前から「力の入れ方が違う」と噂されていたのが、3月31日にスタートする中園ミホ脚本×今田美桜主演の「あんぱん」(NHK東京放送局制作)だ。

本作は、アンパンマンを生み出したやなせたかしとのぶの夫婦をモデルに、“逆転しない正義”を体現した絵本『アンパンマン』にたどり着くまでを描き、生きる喜びが全身から湧いてくるような愛と勇気の物語。こちらは昭和の戦前期から始まる定番の時代設定だ。

キャストのネームバリュー格差もある。何しろヒロインの夫で、やなせたかしをモデルとしたたかしには、映画『東京リベンジャーズ』の北村匠海、嵩の父母役は二宮和也と松嶋菜々子。ヒロインの両親には加瀬亮と江口のりこ、妹に日本アカデミー賞主演女優賞を獲得したばかりの注目株・河合優実、原菜乃華、他にベテランの吉田鋼太郎や竹野内豊、阿部サダヲなどまで投入する熱の入れようには、若干の不公平感もある。

同じ福岡出身で同年代、橋本環奈と今田美桜はライバル⁉

しかし、明暗が分かれたかに見える「おむすび」と「あんぱん」のヒロインたち――橋本環奈と今田美桜には意外に共通点が多いことをご存じだろうか。実は、宿命のライバルとも言える2人なのだ。

ひとつは、どちらも「福岡市出身」で、「ご当地アイドル」をしていたこと。

現在26歳の橋本環奈は、テレビに出たいという思いから、母親に頼んで小学3年生のときに福岡の芸能事務所に所属。ローカルCM出演やダンス&ボーカルユニット「DVL」への参加などを経て、2013年、中3のときに地元福岡のイベントに「Rev.fromDVL」のメンバーとして参加した写真が「奇跡の一枚」と言われ、その美少女ぶりがTwitter(現X)などで拡散され、名前が一気に全国に知られて、「千年に一人の逸材」と呼ばれるに至った。