親は「できること」に目を向けたほうがいい
生きとし生けるものは、皆「今ある脳」の特性を精一杯、発揮しながら生きています。
すべての脳は、「今、できること」を表現しているだけ。そこに、その人の個性なり才能なり、何かしらの「真価」が秘められているのです。そしてそれは、いかようにも変わりえます。たとえ脳の右半分が失われても、左半分が増大するように。この点において、いわゆる障がいのある人の脳も、障がいのない人の脳も、実は同じと言えるのです。
子を持つ親としては、我が子が心配なあまり、つい「できないこと」にばかりフォーカスし、何とか克服させようと手を尽くすのが常なのかもしれません。私自身父親でもありますから、その気持ちはよくわかります。でも、実は、「すでに脳が表現していること」の中に、かけがえのない宝物がある、ということをぜひとも皆さんに覚えておいていただきたいです。
さらに脳の発達状態(各部位が担う機能ごとの発達度合いのバランス)は固定的なものではなく、どんどん変化しうるものですから、可能性は未知数と言えます。本書で皆さんにお伝えしたい一番重要なメッセージは、こうした脳の仕組みへの認知を持って「あるがままの脳」と向き合うようになると、その脳の能力が向上するということです。
「わが子の脳」を正しく知る
単純に言うと、お子さんの脳を「できないことがある脳」ではなく「あるがままの姿で、その特性を精一杯、発揮している脳」と知ったうえで、お子さんと付き合うと、お子さんの能力向上につながるのです。不思議に思われるかもしれませんが、これは脳科学的に説明ができる話なのです。
脳は外部からの刺激によってどんどん変化します。我が子に「できないことがある」という前提で付き合うのと、「あるがままの姿で、その特性を精一杯、発揮している」という認知のもとで付き合うのとでは、子どもの脳に送られる刺激は、当然大きく変わってきます。
つまり、「正しい認知」が「その脳にふさわしい刺激の源」となり、それが能力向上、才能の開花につながるというわけです。
これは、子どもの脳にとってメリットになるだけではありません。我が子は、一体、どのような脳の特性を精一杯発揮しながら生きているのか。それを知ることは、子どもに対する最大の理解と言っても過言ではありません。そして的確な理解は、相手との関係性の向上に直結します。


