「思考力」が試されるようになっている

他にも、英語では、昨今注目を集めている「スローライフ」に関する長文が出題されたり、国語の古文でも大河ドラマで話題になった『源氏物語』から出題されたりするなど、やはり世間の話題やニュースを意識した題材が選ばれていると言えます。

なぜ、ここまで時事ネタの出題が増えているのでしょうか? 近年、大学入試では単なる暗記ではなく、「思考力」を問う問題が重視されるようになっています。「センター試験」が「共通テスト」に変わったのも、そうした意図からであるとされています。

「共通テスト」では受験生の「思考力」を問うために、「身につけた知識を活用して問題を解決する力を測る問題」が出題されます。つまり、ただ覚えたことをそのまま出力するのではなく、その知識を用いてどう問題解決に繋げられるかを考えさせようとしているのです。

そのためには、そもそも「何が問題なのか」を見つける力が不可欠です。ただ机に向かって暗記だけしていては、社会の問題や課題を見つけ、解決しようという発想は生まれにくいでしょう。だからこそ共通テストでの出題は、「勉強と日常生活を結びつけ、社会問題に対する関心を持っているかどうか」を問うものになっていると考えられます。

集中してメモを取る高校生たち
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“単語を暗記しただけの受験生”は難しかった

教科書を読み、単語を暗記することは、学校でも指導されることです。しかし、「社会への関心を持たせる」というのは、幼少期からの家庭での教育の比重が大きく影響する部分であり、学校の指導によって伸ばすことは難しくあります。

例えば、先ほど取り上げた「ファブレス企業」に関する共通テストの問題も、単に定義を知っているかどうかが問われていたのではありません。実際にどういう経営構造なのか、どういう業種に多いのか、メリット・デメリットは何か、そういった部分まで踏み込んで考えてきたかが問われていました。

これは、教科書を読んで「ファブレス企業」という単語を暗記しただけの受験生には難しい問題でした。一方、ニュースなどで取り上げられた場面では、それがどういう企業を指し、どういう産業構造なのかも併せて解説されていたはずです。日々、ニュースなどで目にした言葉に疑問を持ち、何気なく調べてみるという習慣の中で知識が身についていた受験生にとっては容易い問題と感じたでしょう。

実際に講演などで触れ合う中高生を見ていても、日頃からニュースに触れ、身の回りを取り巻く社会に関心がある子どもは、どんどん自分で疑問を見つけて学び、知識を深めていきます。こうした日々の習慣が共通テストで求められている「思考力」を育て、結果として成績の向上にもつながりやすくなっています。