「いじめっ子」は悲しみを分かち合えない子
ワロンの著作を読み返していると、近年とくにしみじみと感じることがあります。
全国の小中学校で「いじめ」が問題になっていることです。小中学校に限らず、高校、大学、会社でも状況は変わりがありません。
「いじめっ子」――友達をいじめる子というのは、友達と悲しみを分かち合う力がない子なのです。ほとんどのケースが、うんと小さいときに親と喜びを分かち合うことがなかった、あるいはとても少なかったという子たちです。
子どもを喜ばせることがなによりの喜びだ、と思って育ててもらった経験がなかったのでしょうね。喜びを分かち合うことを知らない子は、悲しみを分かち合うことができない。いじめっ子というのはその典型的な姿です。
「いじめてはダメ」より伝えるべきこと
保育園などで、ほかの子をいじめる子がいた場合、私は「いじめられた子をなぐさめるのではなく、いじめた子を抱きしめてあげてください」といつもアドバイスをしています。
もちろんいじめられた子にもケアをしてあげる必要もありますが、もっと気をつけて見てあげてほしいのはいじめた子のほうです。「もうしてはいけない」と言うのではなく、「○○ちゃんも悲しいんだよね」と言ってあげるだけでいい。
ほとんどの場合、子ども自身もいじめることが楽しくてやっているわけではないのです。悪いということがわかっています。だからこそ「やってはいけない」「二度としないでね」という言葉は使うべきではないのです。乱暴なことをした子、いじめた子は、いじめられた子ども以上に傷ついた子どもだからです。
これは家庭でも同じことで、「そういうことをする子は大嫌い」「そんなことをしたらもう家においてあげない」というような言葉で叱ってはいけません。
そう感じさせる言葉を使わないでください。
叱ることがあってもあなたを見放したり、嫌いになったりはしないのだ、ということをなによりも伝えてあげてほしいのです。