“誤解”しての入会は「無効」になる

(1)加入時の説明に関する問題

PTAの現場で、最大の問題だったのは、自動的な強制加入である。しかし、近年、PTAが任意加入団体であることを報じる新聞やインターネットの記事、テレビ番組などが増え、保護者たちは、加入が任意であることを容易に知ることができるようになった。あからさまな強制加入や、退会を拒否するPTAは、次第に少なくなってきている。

もっとも、PTA執行部が、加入の任意性を周知徹底せず、強制加入と誤信して会員になってしまう保護者もまだまだ多い。また、加入時の業務説明が不十分だったため、いざ活動が始まって、会員が想定外の負担を課され、「こんな負担が重たいなら入会しなかった」とトラブルになることもある。

こうした問題の解決は容易である。まず、主たる契約内容を誤解してなされた入会申込は、民法上、錯誤無効となる(民法95条)。強制加入と誤信したり、加入時に説明のなかった業務が耐え難いものであったりした場合は、PTAに対し、入会の申込は錯誤に基づく無効なものであり、自分は非会員だと伝えればよいだろう。

この時、不当利得返還請求という形で、会費の払い戻しを求めることもできる。また、そもそも、PTAは退会も自由であり、端的に退会してもよい。

PTA会議での女性
写真=iStock.com/takasuu
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通常は「話し合い」で解決が図られる

(2)非会員の排除の問題

現在、多くのPTAは、入会を拒否したり、退会の意思を表示したりした保護者を会員にすることは諦める。しかし、入会拒否・退会を防ぐために、非会員をサービスから排除する場合がある。

例えば、会員の子どもだけに卒業式の記念品を渡すことで、非会員の保護する子どもに疎外感を与えようとすることがある。また、PTAの主催する学校施設を利用した行事への参加を認めなかったり、PTAやその関連団体が集団登校を組織する「登校班」から非会員の子どもを外したりする事例もある。

PTA加入の任意性が多くの人に知られた現在、一番問題なのは、このようなPTAによる非会員の排除だ。こうした問題を解決するには、どうすればよいのか。

通常であれば、話し合いで、保護者が非会員であっても子どもに不利益が生じないよう、対策が採られる。PTAが提供するサービスと会費との間の対価関係が強い場合には、実費徴収で対応し、対価関係の弱いサービスについては、特に区別を設けないのが一般的だろう。では、話し合いが成立しない場合に、学校及びPTAに法令遵守を求めるにはどうしたらよいのか。