学校施設の利用権は「学校」にある

(2)PTAによる学校施設の特権的利用

次に重要なのが、PTAによる学校施設の利用である。PTAは、学校内の部屋を「PTA室」として利用したり、PTA行事のために優先的に体育館やグラウンドの利用を認められたりする。このことの法的根拠は、どう理解すべきか。

学校に、学校施設の優先的な利用権があるのは言うまでもない。学校教育法137条は「学校教育上支障のない限り、学校には、社会教育に関する施設を附置し、又は学校の施設を社会教育その他公共のために、利用させることができる」と定めており、学校外の団体等の利用には、「学校教育上支障のない限り」、かつ、「公共のために」という条件を付している。

この点、学校の授業時間外、すなわち、子どもたちの下校後や休日の利用であれば、「学校教育上支障のない」利用と言えるだろう。また、地域のスポーツサークルなど、他の利用希望団体と平等な条件(抽選や先着順など)で、学校施設をPTAに利用させる場合には、学校施設をパブリック・フォーラム(一般公衆に開かれた場所)として開放する一環として、「公共のために」の要件を充たすとの説明が可能である。

空っぽの日本の教室
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「PTA室」は“学校教育”目的かという視点

しかし、PTA室の設置や、他の団体に優先させての利用については、「他の団体と平等に扱っている」という説明はできない。この点、PTAが、非会員の保護する子どもを含め、学校に通う子どもたち全員のためにボランティア活動を行っている場合、その活動は「学校教育」の一環だと説明する余地がある。

他方、PTAが、会員やその子どものみを受益者とする会員限定サービス団体として活動している場合には、その活動は地域のスポーツサークルと同様の扱いになる。そうした活動を「学校教育」目的とみなすのは難しく、学校が、PTA室の設置などを認める法的根拠はなくなる。そのようなPTAには、他の団体と平等の条件で学校施設を利用させるか、学校施設を利用せずに活動してもらうようにすべきだろう。

以上の検討を踏まえ、PTAの現場でしばしば生じるトラブルの法的な対応方法を考えたい。現在、PTAの現場で起きているトラブルは、①PTAの説明不足に起因するものと、②PTAによる非会員排除の二つに分類できる。