連鎖していく愛子さまの笑顔
お帰りになる際には、館長が「またおいで下さい」と申し上げたのに対し、「はい、近くですのでシュッとこれます」と明るくお応えになり、その場にいた皆を笑顔にされたようだ。敬宮殿下らしいご公務のスタートを切られた。
テレビ局の取材に星氏も終始笑顔で応じていたので、「殿下の笑顔が伝わっていく」とテレビ局の記者が解説していた。その解説をした記者本人も嬉しそうな笑顔だった。さらに、そのニュースを見た視聴者の多くも、同じように笑顔になったのではないだろうか。敬宮殿下の温かなほほ笑みは、次々と連鎖するらしい。
「あっという間に緊張がほぐれていく」
そのような笑顔の連鎖をあらためて感じさせたのは、初めての地方での単独のご公務の時だ。
敬宮殿下は10月11日から12日にかけて、佐賀県で開催された国民スポーツ大会にお出ましになった。この時に、現地で敬宮殿下と間近に接した人たちがどのような印象を持ったか。共同通信の大木賢一記者が丁寧な取材記事を書いている(47NEWS、11月29日公開)。
それによると、案内役として最も長く時間を共にした佐賀県の山口祥義知事は、次のように述べている。
佐賀城歴史館を案内した七田忠昭館長も「(一瞬で人の緊張を解いてしまわれる)陛下も愛子さまも、何か魔法でも持っているかのようです」と語っている。
大木記者自身が皇太子時代の天皇陛下と接した時も、「とても緊張していたはずなのに、終わってみるとやたらと楽しかったことしか覚えていない」そうだ。
敬宮殿下は、そのような天皇陛下の「魔法」めいた力を、そのまま受け継がれたのだろう。
ご感想から伝わる高い“共感力”
敬宮殿下が現地で「紙すき」の体験をされた時に、補助役をしたのは工房「名尾手すき和紙」の職人、田中ももさんだった。年齢は殿下と近い25歳という若さ。紙すき体験について、敬宮殿下は「水の冷たさとか、流れる音とか、紙の感触とか、そういうのが新鮮で心地いいですね」という趣旨のご感想を述べられた。田中さんにとって、このご感想が本当に嬉しかったようだ。
「そうなんです! そうなんです! って、嬉しくなってしまいました。(紙すきの作業に対して自分自身が)大変さを上回る楽しさとかやりがいを持っているので、大変ですねって言われるよりは、そういう風に言ってもらった方が、そうなんですよっていうふうになってしまいます」
このように語る田中さんの満面の笑みが目に浮かぶ。