健康で資産に余裕があれば「分譲」という選択肢も
健康で資産にも余裕がある場合、「シニア向け分譲マンション」は有力な選択肢だろう。所有権方式であり、売却や転貸も可能な「資産」となることが他の高齢者施設との大きな違いだ。生活に制限はなく、外出や外泊も自由。バリアフリー、24時間スタッフ常駐をはじめ高齢者が住みやすい環境が整っているほか、レストランやプール、温泉などが併設されていることも多い。リタイア後をアクティブに過ごしたい人にとって魅力的な環境に違いない。
一方、高額な購入資金と月々のランニングコストを含む費用面はやはり大きなハードルの一つ。また、要介護度が上がると住み続けることが難しい点、他の高齢者施設に比べると件数や事例が少なく、相場感がつかみづらい点などにも注意したい。
比較的安価で施設数も豊富「サ高住」で自由な暮らしを
近年、施設も利用者も多くなってきた「サービス付き高齢者向け住宅」。こちらも外出や外泊が自由なケースが多く、自立した人か、要介護度が軽度な人が主な対象。バリアフリー、安否確認、生活支援といった最低限のサービスを比較的安価で受けられる。また、施設数が多い上に各施設が多様なケアプランを打ち出しており、選択肢が多いのは大きなメリットだろう。さらに、初期費用も比較的安価なため、転居しやすい点も見逃せないポイントだ。
ただし、基本は介護サービスを利用した分だけ費用が上乗せされる仕組みで、外部の事業者と別途ケアサービス契約を結ぶケースも多い。また、看護師が常駐していない施設も多く、介護度が重くなったり、認知症が進んだ場合などは、退去になる可能性もある。
ニーズの多様化に対応した高級介護付き老人ホームも
三つ目が「介護付き有料老人ホーム」だ。介護を必要とする高齢者を主な対象とし、介護サービスに加え、食事の提供、24時間の見守り、みとり、夜間の見回りなど、さまざまなサービスを提供している。また施設ごとに特色が大きく異なり、近年では超高級マンションのような立地・間取りに加え、超高級ホテル顔負けの食事やコンシェルジュサービス他を提供する施設も登場。ニーズの多様化に合わせ、施設の在り方も大きく変わっている。
手厚い介護・看護体制を維持するため、外出・外泊は許可制であることが多く、生活が多少制限される点は前に挙げた二つとの違い。また、介護サービスの費用は介護度によって決まるため、仮に介護サービスをあまり利用しなくても定額の費用が発生する。
長期に及ぶ第二の人生を自分らしく過ごすために
今回紹介した3施設以外にも、住宅型有料老人ホーム、ケアハウス、グループホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、特別養護老人ホームなど、高齢者施設にはさまざまな種類がある。また当然、自宅や二世帯住宅もセカンドライフの舞台の一つだ。こうした多くの選択肢の中からそれぞれに違う特徴を理解し、自分たちらしい暮らしの条件を家族みんなで考えてみる。それが安心して第二の人生を迎えるための第一歩かもしれない。