子どもを上手に褒めるにはどうすればいいか。信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授で、同附属病院子どものこころ診療部部長の本田秀夫さんは「大人が褒めたいと感じるところと、子どもが褒めてほしいと思っているところは、一致しないことがある。その場合、子どもは『恥ずかしい』『どんな反応したらいいの?』と混乱してしまうことがある」という――。(第2回/全3回)

※本稿は、本田秀夫・フクチマミ『マンガでわかる 発達障害の子どもたち 自閉スペクトラムの不可解な行動には理由がある』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

褒められてうれしいときと、恥ずかしいときがある

最初のマンガには学校の先生の気持ち、次のマンガには子どもの気持ちが描かれています。

子どもが漢字の学習をしているとき、先生はその子のいいところ・できることに目を向けて、褒めようとしていました。「これは褒めポイント」と思ったところで、すかさず「がんばっているね」「えらいなあ」「キレイだね」と声をかけたのですが、なぜか子どもに噛みつかれてしまいました。

「褒められたらうれしいはず」の思い込み

このとき子どもがどう感じていたのかを描いたのが、2つ目のマンガです。この子は漢字を書くのが苦手で、自分ではうまく書けているとは思っていませんでした。

自分にも得意なこともあるのに、先生は漢字を書くときしか褒めてくれない。別にがんばっているわけでもなく、いやいや書いているのに、大げさに褒めてくる。子どもとしては「恥ずかしい」「どんな反応したらいいの?」と思っていたのです。

褒められても全然うれしくない子ども