「保活」は複雑で不公平な椅子取りゲームと化している
育児休業を取得すると、最初の6カ月は給与の67%が育児休業給付金として給付され、社会保険料の自己負担も免除なので、実質的には給与の約8割が給付されることになる。一方、早期に復帰して働き出すと、給与を得てはいるものの社会保険料や保育料等の支払いがあるので、実質的な手取りは育児休業給付金より少なくなる場合もある。
申請者に“ルールに基づいた優先度をつける”ということで始まった入所選考システムが、どんどん複雑になっていき、矛盾や不備があらわになってしまっている。ここに紹介している母親たちは、A市の入所申請書類をよく読み込み、どういう人が高い指数を得て入所しやすいかを十二分に理解している。だからこそ、「そんな細かい、ささいな違いで、入所できるかどうか決まる」ことに不満を持っているのだ。
こども家庭庁審議会委員。専門は社会保障・保育政策。早稲田大学教育学部卒業。松下政経塾をへてノースウエスタン大学 MBA取得。慶應義塾大学大学院商学博士。横浜市副市長等をへて現職.主な著作に『保育園は、いま』(岩波書店)、『保育園問題』(中公新書)、『大卒無業女性の憂鬱』(新泉社)、『無子高齢化』(岩波書店)など。
専門は公共経済学・応用ミクロ計量分析。一橋大学経済学部卒業、同大学院社会学修士、ウプサラ大学経済学博士。国立社会保障・人口問題研究所をへて現職。医療・介護・子育て支援・困窮者支援などの社会保障制度や地方交付税や国庫補助金などの政府間補助金制度が対象者に与える影響を研究。