精神論は「家計の中の無駄」を見えなくさせる

それに、単に節約をすることには、寂しい気持ちになる以外にもっと大きな弊害があります。それは「無駄な支出」を冷静に見つめることができなくなることです。

大江英樹『50歳からやってはいけないお金のこと』(PHPビジネス新書)
大江英樹『50歳からやってはいけないお金のこと』(PHPビジネス新書)

前述したような「風呂の残り湯を使う」「電気をこまめに消す」作戦には、たしかに「こんなに頑張っているのだ!」という精神的な効果はあります。でもそれは単に気持ちの上だけで、ほとんど実効性はありません。にもかかわらず、そんな精神論のみで節約をしていたら、それだけで「こんなに頑張っている私」に満足してしまい、本当に大事な「無駄をなくす」ということに思いが至らなくなってしまいます。結果として、努力した割には支出が一向に減らないという結果になりがちです。数字は正直です。

「無駄をなくす」というのは、日頃気がついていないけど、あまり意味のない支出をなくすということです。それらの多くは「固定費」として日常生活の中に埋没してしまっています。具体的には、無駄な保険、使っていないサービス、意味もなく払い続けている会費といった項目がそれにあたります。

効果が高く、生活感に変化のない方法を

意識していない固定費は、節約と違って、なくしても全くストレスを感じることがありません。何しろそれまで意識していなかったわけですから、なくなっても寂しさも感じなければ、残念な気持ちにもならないからです。

例えば、携帯電話のオプションプランというものがあります。携帯電話を契約する時に「いつでも解約できますから」と言われてそのままつけてしまっているプランもたくさんあると思います。でも、実際にはほとんど使わないサービスであることが多いでしょう。

よく、大手キャリアではなく格安スマホに変えるべきだということも言われます。それは全くそのとおりでしょうし、自分で事業をしているのでなければ変えてもほとんど影響はないと思います。しかし、そもそも契約を変更すること自体を面倒に感じる人も多いでしょう。であるなら、現状のスマホのままでいいので、少なくとも不要なオプションプランを解約する(これはスマホ上で簡単にできます)だけでも月額1万円以上違ってくることがあります。私もガラケーからスマホに変えた時、契約時についていたオプションプランを翌日に全て解約しました。料金を合計してみると月額で1万3000円にもなりました。

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写真=iStock.com/Liubomyr Vorona
※写真はイメージです

このように、支出のコントロールというのは精神論ではなく、合理的な判断に基づいておこなわれるべきものだと思います。

大江 英樹(おおえ・ひでき)
経済コラムニスト

大手証券会社に定年まで勤務した後、2012年に独立し、オフィス・リベルタスを設立し、代表に。資産運用やライフプランニング、行動経済学などに関する講演・研修・執筆活動などを行っている。近著に『定年前、しなくていい5つのこと』(光文社新書)など。