自治体ガチャにならないよう国の施策を

一方で、国が行おうとしている産前・産後施策としては、出産一時金50万円への増額が挙げられる。たしかに、物価高が続く環境においてはありがたい。しかし、この施策だけでは、産後直後の不安解消には直結しないだろうし、病院側の値上げも心配である。できれば、自治体ガチャが起きないように、上述したような産後施策の拡充や、家庭平和に繋がる施策を要望したい。もちろん、国としてもベビーシッター補助券を出すなどしてくれているのだが、自治体の政策に比べると制限が多くて使いやすさが劣るところもある(1日にチケットが2枚までしか使えないなど)。ぜひ更に前向きな改善をお願いしたい(お願いばかりで恐縮だが、納税という形で恩返しできるよう、私も頑張りたいところだ)。

女性は出産後年収が20%も下がる

ただ、当然だが子育ては産後だけでなく、ずっと続く。そして、お金の不安もずっと続く。私は不安定な仕事をしていることもあり、不安解消のために産後3カ月で復帰したものの、今も不安と戦っている。この不安をもう少し分解してみようと思う。

女性の賃金が男性よりも低い傾向なのは、世界中で確認されている。実はこれ、経済学研究では「Child Penalty」(チャイルド・ペナルティー)で賃金減少の大部分の説明ができるとの報告もある。「Child Penalty」とは、子供のいる女性が、育児時間捻出のために時短労働や退職をする必要性に迫られて、女性の就業率や収入が長期的に低下し続ける現象を指す。

因果関係に配慮した近年の研究(*1)では、出産前に比べて女性は長期にわたって20%も年収が下がり続けている状況が確認されている。このような状況では、収入減を回避するために出産を諦める女性が存在していても不思議ではなく、少子化の直接的な原因にもなりうる。