ICTの活用でリスクヘッジを。 そう考えている経営者の方は多いだろう。京セラコミュニケーションシステム(KCCS)の佐々木節夫社長にそのポイントを聞く。

日々活用するICTが
リスクヘッジに有効であること

──東日本大震災やタイでの洪水などといった自然災害、欧州を起点にした世界的な金融危機など、重大な経営リスクの顕在化が続いています。そのような経営リスクに対し、ICTを活用したリスクヘッジが注目されています。
佐々木 節夫●ささき・せつお
京セラコミュニケーションシステム株式会社
代表取締役社長

1981年、早稲田大学理工学部を卒業し、京セラ株式会社に入社。米国勤務など要職を歴任。95年、京セラコミュニケーションシステム設立時に出向し、新規システム開発事業部長に就任。専務取締役などを経て、今年4月より現職。

佐々木 そのとおりですね。BCPやディザスタリカバリの観点でICTシステムの損傷に備えることや、情報を物理的に守るという観点で、データセンターを活用したり、システムをクラウド化するというお客様もいらっしゃいます。さらに、セキュリティの強化は、各企業に共通の課題になっています。KCCSでは、そのようなお客様のニーズに対し“情報を守る、つなぐ、活かす。そして経営を伸ばす。”というコンセプトのもと、製品やサービスを提供しています。自社でもそうですが、何か起こったときにリスク対策のためのシステム環境に切り替えても、通常の業務をそのままの運用で行うことは難しいと思います。だから普段の業務の中で使っているICTがリスクヘッジになっていることが重要だとご提案させていただいています。

また、財務報告の虚偽記載や海外拠点の運営というリスクに対しては、日々の企業活動を支える現場の状況を正確かつスピーディに把握し、経営判断を行うことが重要だと考えます。企業規模が大きくなればなるほど現場は見えづらくなります。例えばリーマンショックのときなど、企業が業績見通しを何度も下方修正するケースがしばしば見られました。

近年グローバル化が進み、海外拠点が生産だけではなく販売も行うようになり、それぞれの拠点ごとに経営を行うようになっています。また、M&Aによってグループも拡大していますし、グループ内での取り引きも増えています。このような中、各社の財務諸表を集め、再計算し連結業績を見ているのでは、スピーディな経営判断はまずできないと思います。