2019年4月のホールディングス化以降、長年継続してきた「写真文化発展」と「環境保護」に寄与する活動をますます加速させているキタムラ。同社広報部の佐藤卓さんに、昨今のキタムラグループの環境への取り組みや、環境フォト・コンテストへの期待を聞いた。

「カメラのキタムラ」全店舗のLED化を達成

——近年の環境やサステナビリティに関する取り組みについて教えてください。

株式会社キタムラ 広報部 佐藤卓さん

【佐藤】キタムラ・ホールディングス グループでは、全国637店舗(2021年3月時点)に及ぶ「カメラのキタムラ」の照明設備のLED化が、このほど全店舗で完了しました。これにより省エネ、CO2排出抑制の面で少なからず環境負荷の低減に貢献できると思います。また「いいものを再利用する」というサステナブルな消費行動が定着してきたことを受け、中古カメラのリユース・リペアといった事業にも力を入れています。時計とスマートフォンなどの買い取りも始めており、循環型社会の構築に寄与していきたい考えです。

そして当然ではありますが、これまで長年継続してきた取り組みは、今後も変わらず推進していきます。その一つが美しい自然をテーマとする独自のフォトコンテストの開催です。環境フォト・コンテストとはまた違った視点でより多くの方が自然と向き合えるような機会を提供し、参加者に地球環境への意識を高めていただくことを狙いの一つとしています。また、写真や撮影がもたらす影響や効果などについて調査・分析・考察する「思い出づくり研究所」の活動にも注力。そのほか、「日本野鳥の会」「知床財団」への賛助、店内のミニラボから出る廃液の安全処理、使用済みフィルムケース・電池・インクカートリッジの適正回収といった当社ならではの取り組みも継続し、サステナブルな社会の実現により一層貢献していきたいと考えています。

キタムラ・ホールディングス グループのミッション

身近なものの驚きの瞬間を切り取った新しい作品に期待

——自社のフォトコンテストと環境フォト・コンテストにはどのような違いがあるのでしょう。

【佐藤】当社のフォトコンテストは、事業活動の一環でもあり、一方の環境フォト・コンテストは社会的な活動の一環という側面が強い点に違いがあります。その上で、日常の風景など幅広い写真作品を応募対象とする当社のコンテストに比べ、環境フォト・コンテストでの当社テーマは「写真の力~レンズがとらえた瞬間~」。目の前にありながらもなかなか気づくことができない刹那の輝きをとらえ、思わずハッとさせられるような写真作品を求めています。実際、環境フォト・コンテスト2022の受賞作品3作品は、いずれも当社テーマを巧みに表現した秀作でした。

優秀賞の「Midnight conductor」は、デジタル化の恩恵により近年増えてきた比較明合成を活用した星景写真ですが、それをパラボナアンテナと組み合わせたケースは初めて見ました。北極星を中心とした星の円周運動とアンテナの機能美をダイナミックかつ精緻に捉えるという作者の感性が光る作品です。また、タイトルの通りアンテナが星々の動きを司る指揮者のように見えることから、ネーミングも見事だと思いました。

佳作の「息継ぎ」は、水面で息継ぎをするウミガメの泡を絶妙なタイミングで捉え、生命の存続を祈るような作品。空と海の色の美しさもまた素晴らしい。「玉響の誘い」は、雪が深々と降り注ぐ中、訪れる者の凍えた魂を引き寄せるかのような温かな灯が魅力で、作者の表現力に感心させられました。

一方で、昨今のコロナ禍により、以前のように自由な撮影ができず、当社テーマにふさわしい作品をなかなか撮影できないというジレンマもあるかと思います。そのような時だからこそ、身近なものに目を向けることで再発見した驚きのシーンや瞬間などを切り取っていただき、当社テーマの新たな表現方法を見つけ出していただけるとうれしいですね。

2022年優秀賞「Midnight conductor」小泉正樹さん
2022年佳作1「息継ぎ」三浦エリカさん
2022年佳作2「玉響の誘い」山内雅人さん

——全国に実店舗を構える企業として、コロナ禍といかに向き合ってきたのでしょうか。

【佐藤】当初は営業時間の短縮を余儀なくされたほか、全国のイベントが軒並み中止・延期となったことで、皆さんの撮影の機会が大きく減少しました。写真プリントを事業の柱とする当社にとって、この影響は大きかったですね。

その一方、昨年のオリンピックイヤーに合わせてカメラメーカーが新機種を続々と投入したことなどもあり、機材販売の方は持ち直し、今なお好調に推移しています。また、コロナ禍で在宅時間が伸びたことにより、長年自宅に眠っていたビデオテープや紙焼きアルバムなどのデータ化需要が掘り起こされ、当社サービス「思い出レスキュー」によるデータ保存の利用者などが増えています。このように時代に即したサービスを今後も提供していきたいですね。

キタムラ・ホールディングス グループ全体で写真文化発展と環境保護の両立を

——最後に読者にメッセージをお願いします。

【佐藤】キタムラ・ホールディングス グループは、「世界を代表するフォトライフ・カンパニー」をビジョンに掲げ、2019年4月にホールディングス化しました。「カメラのキタムラ」や「スタジオマリオ」といった写真の専門店を有するキタムラを筆頭に、写真プリントのECサービスを提供するしまうまプリントや、プロカメラマンによるイベント撮影のECサービスを展開するフォトクリエイトなど、写真関連の事業領域において高いマーケットシェアを有しています。今後はそのグループ全体で写真文化発展と環境保護を両立させる取り組みを加速させ、写真を愛する皆さまにより愛される企業を目指してまいります。