2021年11月、イーデザイン損害保険(以下、イーデザイン損保)から、まったく新しいタイプの自動車保険が発売された。「デジタル時代の共創型自動車保険」を謳う「&e(アンディー)」は、従来の「事故を起こしてから使う保険」ではなく、「事故にあわない保険」をコンセプトにしている。確かに事故にあわないということは、すべてのドライバーの願いだが、保険でどうやってそれを実現するのか? 記者が実際に試乗し、体感してみた。

小さな「IoTセンサー」が、ドライバーの運転を診断

今回の取材に協力してくれたのは、社内モニターとして&e(アンディー)の機能を体験しているイーデザイン損保の木村允昶まさのぶさん。奥さまと近所に出かけるところに、記者も同乗させてもらうことになった。

2人とも、以前はカーシェアを利用してたまに運転するくらいで、日常的に運転するようになったのは車を購入した3年前くらいから。現在は週1~2回ほどの頻度で運転しているという。

「夫も私も『慣れている』とは言えないレベルなので、運転は慎重なんです」と奥さま。

イーデザイン損保の木村さん夫妻といざ、ドライブへ。シフトレバー上部に見える(赤丸部分)のが「IoTセンサー」。このセンサーを車内に設置し、スマホとペアリングすることで設定が完了する。

さっそく記者も後部座席に乗り込み、まずは&eの仕組みについて教えてもらった。

「これが、&eのIoTセンサーです」

木村さんが指さしたシフトレバーの奥あたりに、小さくて白い箱が見える。IoTセンサーには加速度を検知する機能があり、クルマの位置や挙動、走行ルートなどの情報を収集するのだ。このセンサーをクルマのダッシュボードなど、水平な場所に貼り付けて、スマートフォンの専用アプリと連携させることで、安全運転に役立つさまざまなサービスが受けられるという。

大きさは3cm×3cm、厚みは1cmほど。貼り付けるだけなので設置は簡単。

そのひとつが「Tripレポート」。1回の運転を終えると、IoTセンサーが検知したデータをもとに、急ブレーキ、急ハンドル、急加速の回数や、それらを基に算出した「運転スコア」がスマホに届く。このTripレポートから、自分の運転傾向がわかるのだそうだ。

また、月2回アプリから「運転テーマ」が配信される。例えば「夕暮れ時は早めにライト点灯」「優先道路でも安全確認は怠らない」など、同社の持つ過去の事故パターンから導き出した安全運転のためのヒントとなる情報が届く。

「では、そろそろ出発しましょう」

運転席に木村さん、助手席に奥さまが乗車して、ドライブスタートだ。

Tripレポートが、自分の運転に「気づき」を与えてくれる

スタート地点から、しばらくはセンターラインのない下り坂が続く。

「慣れているドライバーはスピードを出しているので、けっこう怖いんですよね」

走り始めて間もなく、踏切にさしかかった。一時停止の後、ふんわりとアクセルを踏みながら木村さんが言う。

「&eを使い始めて間もない頃、Tripレポートを確認したら、この踏切で『急発進』を指摘されたんです。自分ではその意識がなかったのですが、レポートを見て『あぁ、あれが急発進にあたるのか』という気づきがありました」

多くのドライバーにとって、自分の運転が安全なのか危険なのかを客観的に評価することは難しい。Tripレポートで振り返りを続けることによって安全運転への意識が高まり、その結果として、事故にあうリスクが低減できるというわけだ。

ほどなくして、クルマは人通りの多い駅前通りへ。横断歩道の手前で一時停止し、再発進しようとした瞬間、お年寄りが道を渡ろうと飛び出してきた。

「おっと!」

木村さんがブレーキを踏む。

「ごめんなさい。今のは&eに『急ブレーキ』と判断されたかもしれません」

それを聞いて、助手席の奥さまがほほ笑む。

「夫は&eを使い始めてから、急ブレーキを踏むと、いつも謝るんです。半分は私や娘に対してですが、もう半分は&eに謝っているみたい(笑)。それに、見通しの悪い道にさしかかると、あらかじめスピードを落として、ゆっくり走るようになりましたね」

万一の事故には、スマホから1タップで担当者に連絡

混雑した道を抜け、クルマは快適なスピードで走り始めた。最近では、家族でキャンプに出かけることも多いという木村さん。キャンプへの行き帰りは奥さまが運転することもあるという。

キャンプ好きという木村さん。荷室にはキャンプ用具がギッシリ。

「急カーブが続く山道の運転は、やっぱり緊張します。でも、日常の運転を通じて危険予知が習慣化したからか、最近では安心して運転できるようになりました。でも、初めて訪れる場所で万一、事故を起こしてしまったら……と思うと不安ですよね」

確かに、土地勘のない地域、とりわけ山の中で事故を起こしたら、誰もがパニックになり、電話で状況を伝えることもままならなくなりそうだ。

しかし、こんな時でも&eなら安心。「衝撃を検知しました。事故の場合タップしてください」と即座にスマホにプッシュ通知が届き、利用者がタップすると、事故対応窓口にGPSデータで現在地が伝えられ、現場での対応をナビゲートしてくれるのだ。

走り始めて15分ほどでドライブは終了。ゴール地点のコンビニにクルマを停め、さっそくTripレポートを確認してみた。スマホの画面に、たったいま走ってきたコースが表示されている。気になる運転スコアを見てみると……。

「10点でした! 駅前でのブレーキは『急ブレーキ』とは判断されなかったようですね」

木村さんに、過去の運転スコアの履歴を見せてもらった。初めの頃は7点、8点という評価もあるが、最近では10点が連続している。

「評価が目に見えるようになると、やっぱり満点を狙いたくなるし、減点があった時には、原因がどこにあったのかを知りたくなりますね。ウチでは、どちらかが運転するたびに夫婦で運転スコアをチェックし合って競争しています」

「Tripレポート」の画面。今回の運転スコアは見事、10点満点(左)。今年1月9日の運転スコアは急加速が1回あり0.4ポイントの減点だった(右)。

安全運転を続けることで、うれしい「ごほうび」も

&eでは、利用者同士で運転スコアが共有できる「フレンド機能」があり、家族の運転を見守りながら、一緒に安全運転意識を高めることができる。さらに「チャレンジ機能」では、「フレンド登録」した家族や友人などと運転スコアを競うことができるだけでなく、結果に応じてバッジを獲得できるらしい。ゲーム性を取り入れることで、楽しみながら積極的に安全運転に取り組めるよう工夫されているのだ。

さらに、運転スコア10点が一定期間継続されると「ハート」が付与され、たまったハートの点数に応じて、コーヒーやスイーツなどの商品と交換できるという。

「ハートがたまっていくと、達成感があってうれしいんですよね。このコーヒーもハートで交換したんです」

そう言って、手に持っていたコーヒーを見せてくれた。なるほど、コーヒーやスイーツと交換できるのであれば、こうした取り組みも楽しく続けられそうだ。

ハートの獲得/利用画面(左)とプレゼント一覧の画面(右)。安全運転の意識が高まり、さらにプレゼントももらえるのがうれしい。ハートは家族で合算することもできる。

コーヒーを飲みながら、2人に話を聞いた。どんなところに、&eのメリットを感じているのだろうか。

「私は『運転テーマ』を重宝しています。『左折時は必ず目視も忘れずに』など、教習所で習ったけれど普段は意識できていないポイントを、運転のたびに気づかせてもらえるのはうれしいですね」と奥さま。

「私は、郷里の父親に&eを勧めたいですね。もう70歳を過ぎているので、どんな運転をしているのか気にかかります。フレンド機能を使ってお互いに運転傾向をチェックしながら、一緒に安全運転の意識を高めることができたら安心ですよね」と木村さん。

今回の取材を通じて、「事故にあわない保険」の意味がよく理解できた。&eを契約すると運転テーマやTripレポートでご自身やご家族の安全運転を意識できる。さらにその輪が広がれば、集まったデータが活用されて「事故のない世界」へ一歩ずつ近づいていく。事故のない世界そのものをユーザーと共に創る、これまでにない共創型自動車保険だ。

ハートと交換したコーヒーで談笑する木村さん夫妻。「&eを使い始めてから、後続車に急ブレーキを踏ませないように、他のドライバーへの気配りもできるようになりました」。

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