タリバンに近づく中国の思惑とは
アメリカの主敵である中国は、アメリカのアフガニスタン撤退後、アフガニスタンに友好的なスタンスを取っています。食料や新型コロナウイルスワクチンなど34億円相当の支援を行うと、タリバン政権に接近しています。
中国の狙いのひとつは、カブール近郊のアイナク銅山。ここに豊富な鉱物資源が眠っているのです。しかし残念なことに、アフガニスタン内部には、まともな道路がなく、開発の技術も徹底的に遅れているので、そこに資源があっても開発できない。開発するのにものすごくお金がかかるので、投資してもそれだけの回収ができるのかという大きな問題があります。
また現状、中国はそれなりに外交資源を投入しなければいけないのに、アフガニスタン政権が崩壊したおかげで、ウズベキスタンを通ってのほうからテロを起こす勢力が入ってくる恐れが出てきました。内陸に懸念が出てくると「太平洋のほうに空母をつくっている場合じゃないよね」「今までアメリカが裏のほうにいたのは気に食わなかったけれど、いざいなくなると大変じゃないか」と感じているでしょう。ですから、しょうがなく中国はタリバン政権ともうまくやりつつ、ウズベキスタンのほうで問題を起こしそうな勢力を支援しないでほしいと頼んでいるのです。
こうした中国の動きからも、東アジアに戻り、海をしっかりとおさえるというアメリカの戦略は、まあまあよかったのではないかと思います。
1972年生まれ、横浜市出身。カナダのブリティッシュ・コロンビア大学を卒業。英国レディング大学大学院で修士号(MA)と博士号(PhD)を取得。戦略学博士。多摩大学客員教授、国際地政学研究所上席研究員、拓殖大学大学院非常勤講師。著書に『サクッとわかるビジネス教養 地政学』、『サクッとわかるビジネス教養 新地政学』、訳書に『平和の地政学』(N.スパイクマン著)、『完全版 大国政治の悲劇』(J.ミアシャイマー著)、『中国4.0』(E.ルトワック著)、『デンジャー・ゾーン』(ハル・ブランズ&マイケル・ベックリー著)などがある。