在宅勤務で自分の時間が確保しやすくなり、英語学習に取り組もうというビジネスパーソンが増えている。しかし、在宅での独学は、モチベーションを維持することが難しい。どうすれば挫折することなく継続できるのだろうか。NHKラジオの「ラジオビジネス英語」の講師でもあり、神田外語大学特任教授、キャリア教育センター長の柴田真一先生にうかがった。

英語を学ぶ目的を再確認しよう

柴田真一(しばた・しんいち)
神田外語大学特任教授、キャリア教育センター長
上智大学外国語学部卒業。ロンドン大学大学院経営学修士(MBA)。専門は国際ビジネスコミュニケーション。みずほフィナンシャルグループ、目白大学教授・英米語学科長を経て現職。銀行員としてロンドン15年、ドイツ5年の海外勤務経験を生かし、ビジネス英語、キャリア教育に関わる授業を担当。2015年4月よりNHKラジオ「入門ビジネス英語」講師、今年4月よりNHKラジオ「ラジオビジネス英語」講師を担当する。著書に『英文ビジネスeメールの教科書』『初めてのビジネス英会話』(ともにNHK出版)などがある。

「そもそも何のために英語を学ぶのか。この軸をしっかりさせることが、学習継続のためには大切なことです。例えば、TOEIC L&Rテストのスコアを目標にして、それをクリアすることだけでは、語学学習の本来の目的にはならないと思います。むしろその先に何があるのか。英語はあくまでもツール=道具ですから、それを使って自分は何がしたいのかを、いま一度押さえておくことが重要です」と柴田先生は語る。

では、英語を使って何をしたいのかを具体的に考えてみよう。

例えば、プレゼンテーションを行うために準備した英語を話すことはできる。しかし、質問をされたとき、何か意見を求められたとき、言いたいことが英語で出てこない場面が思い浮かぶ。ランチタイムのときの雑談も苦手だ。

つまり、コミュニケーションを取るために、意思の伝達手段としてもっと英語力を高めたい、それこそが英語学習の目的といえるのだろう。

「自分の言いたいことを英語で伝えるためには、『読む、書く、話す、聞く』の4技能をリンクさせて学ぶことが重要です。読んだら書く、書いたら話す、話すときには聞くといった具合に、話すためには常に4技能を意識すること。そしてこのサイクルを楽しく行うことができるかどうかが、英語学習を継続させる要なのです」

何より大事なのは“楽しく学ぶこと”。楽しいと思えるから続けられるのだと柴田先生は強調する。

「まず、ペースメーカーを決めましょう。例えばラジオやテレビの英語講座など、自分に合った番組を選んで、毎日、この時間はこれを聞く、見ると決めること。好きなテキストを1冊決めて、毎日3ページを日課にするのもいいでしょう。よくばらずに、何か一つで構いません。それを続けることです」と柴田先生はアドバイスする。

オンライン英会話で練習試合を楽しもう

「ペースメーカーは、地道な基礎トレーニング。そこに練習試合を組み込むことで楽しさが加わります。いまは手頃な価格でオンライン英会話ができますから、英語を使う場所がないなんて言い訳はできませんね。例えば週2回ぐらい定期的にオンライン英会話を取り入れて、『話す』『聞く』の機会をつくってみましょう。トレーニングしたことを、実際に使ってみる、話してみることが気軽にできるのが、オンライン英会話の魅力です。

相手がノンネイティブであっても、まったく問題ありません。英語話者は世界に約20億人いて、そのうちネイティブは4億人ほど、あとはノンネイティブです。国際会議やビジネスの場でも、それぞれなまりのある英語を話しています。注目されるのは、発音の良さではありません、当然話している内容なのです」

では、どんなことに気を付ければいいのだろうか。

「発音よりも大切なのはイントネーションやアクセントの付け方。日本語は抑揚の少ない言葉なので、日本人が話す英語は一本調子になりがちです。意識して大げさに話すくらいが、ちょうどよく相手に聞き取ってもらえます。ラジオなどの英語講座で復唱するときもそれを心掛けるといいと思います」

一方で、相手の言葉を聞き取れずに苦労することもよくある。

「わからなければ聞き返せばいいんです。ただし、いつもpardon meなどと返していると、相手は全部言い直さなければいけないし、言い直してもらってもまた聞き取れなかったりします。どこからわからなかったかを、相手に伝えるように聞き返してください。例えば、Let,s keep everybody in the loop.(全員で情報共有しましょう)と言われて、最後のところが聞き取れなかったら、Keep everybody what? と言えば、 in the loopがわからなかったのだと相手が認識でき、That means keep everybody informed.などと言い直してくれます」

すべてを聞き取れなくてもいいし、完璧に話せなくてもいい。完璧主義からの脱却が必要ということか。

「とくに日本人は文法にとらわれがちですが、文法の正しさより何を話すかが重要なのです。仕事の場であっても相手が求めるのは、politeであるよりもfriendlyであることですから。そこから信頼関係が育まれていきます」

相手を笑わせようというくらいの意気込みがあってよいと柴田先生は言う。

SNSや映画、海外ドラマなどを利用

では「読む」「書く」について、日々の学習方法を柴田先生にうかがってみた。

「例えば、SNSで海外のアーティストやアスリートなど、自分が好きな人をフォローして読むのもいいですね。ビジネスにフォーカスするならLinkedIn(リンクトイン)でしょうか。ここではビジネスパーソンだけでなく政治家も発信していますし、世界情勢のさまざまな話題に触れられます。BBCやCNNのニュースを読むのもおすすめですが、読むのに時間がかかって負担であれば、日本語版を先に読んでから英語で確認する方法でもいいと思います」

読んだあとは興味深かった内容や、会話に使えそうなフレーズを書き出しておこう。

「とくに動詞や形容詞の使い方に注目すると、語彙や表現力が広がります。書きためた表現はオンライン英会話などで使ってみてください」

こうした生きた「読む、書く、話す、聞く」という英語学習こそ、在宅時間を生かす効果的な学習方法といえる。

「スポーツ中継など、興味の持てるもの、楽しめるものは何でも教材になります。どうぞ英語を楽しんでください!」という柴田先生の言葉は、ビジネスパーソンの英語学習を後押ししてくれるはずだ。

(中田ひとみ=取材・文 原田圭介=撮影)

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