迷ったら世界株インデックス投信でOK

投資信託は多くの投資家から集めた資金をまとめて株式や債券などに投資し、得られた利益が分配金や値上がり益として投資家に還元される仕組みの商品です。iDeCoでは、運営管理機関が複数の投資信託を選定しており、その中から選択することになります。どれを選べばいいか分からない、ということから、つい、預金にしてしまう、という人が多いのですが、まずは、世界株に投資するインデックス投信を選ぶといいでしょう。

インデックス投信とは、特定の指数(例えば日経平均や東証株価指数など)に値動きが連動する投資信託です。世界株に投資するインデックス投信は、先進国や新興国を含めた世界中の株価の動きを表す指数に連動するもので、その1本に投資すれば、世界中の株式に投資したような成果が期待できます。投資では投資先が広いほど、値動きが安定しやすいと考えられていますから、分散効果を得ながら投資ができるというわけです。

日本株を含む・含まないなど、複数のタイプがある場合は、ほかの資産とのバランスも考えて選択しましょう。日本株には別途投資したいから投資信託は日本株を除いた世界株インデックス投信にする、などです。

前述のとおり、DCやiDeCoでは時間分散を図りながら投資できるためリスクも抑えられますが、どうしても投資が怖い、という場合は、世界中の株式や債券に分散投資するバランス型というタイプを選択肢にする手もあります。債券の比率が高いほど、リターンは抑えられますが、安全性は高くなります。

iDeCoはさらに使いやすくなる

DCは勤務先主導であるため、誰でも加入できるわけではありませんが、iDeCoは自身が望めば多くの方が加入できます。実際、コロナ禍でも、iDeCoの加入者は増加傾向で、年金づくりに取り組む人が多いことが分かります。DCに加入している人が別途iDeCoに加入するには労使の規約の定めが必要ですが、2022年からは定めがなくても加入できるようになり、より門扉が広がります。

またDCについては、企業が拠出する掛金のほかに、従業員自らが掛金を出す「マッチング拠出」ができる場合もあります(企業により異なる)。

DC、iDeCoとも、積み立てた資金を受け取れるのは原則60歳以降であり、そのほかのお金(住宅購入資金や教育費など)とのバランスを考えることも大切ですが、有利な制度ですから、積極的に活用したいところです。ポイントは、時間分散が得られる仕組みを利用して、株式に投資する投資信託で積極的に運用することです。

深野 康彦(ふかの・やすひこ)
ファイナンシャルプランナー

ファイナンシャルリサーチ代表。1962年生まれ。クレジット会社を経て独立系FP会社に入社、96年に独立。30年以上の実績を持つ日本のFPの草分けの1人。さまざまなメディアやセミナーを通じて家計管理や資産運用、マクロ経済まで幅広く発信するとともに相談業務も行っている。生活者の立場に寄り添う解説とアドバイスにファンが多い。『55歳からはじめる 長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)など著書多数。