旅費以上に大きな財産となるような経験

また、「自分はツイてない」「日本は夢が見られない社会になった」なんていう人は、「本当の絶望がどういうものか」を知らないのでしょう。

貧しい国の貧しい人々が置かれた状況を知ると、自分がどれほど恵まれているかということに感謝でき、やりたいことは何でもできると感じます。

日本で日本人として生まれたことは、人生ゲームで最初からサイコロの6の目を出してスタートしたようなもの。日本に感謝するとともに、環境を言い訳にしないで、自らの力で人生を切り拓こうという前向きなモチベーションを得ることができます。

だから私も妻も、会社や政府や環境のせいにして「できない」「不運だ」「○○が悪い」などという発想は一切ありません。そして私たち家族の生き方に、強烈な自己責任意識をもたらしてくれたこの旅行での経験は、旅費以上に大きな財産となっています。

外食などは食べれば終わりで、その効能(たとえばおいしいなどといった満足度)は長期には続かないし、人生にそれほど前向きな力を及ぼすものでもない。

しかし旅によって得られた経験は、その後の人生何十年にもわたって、自分の思考に影響を与え続けてくれるわけですから、極めてコストパフォーマンスの高い投資だと言えるのではないでしょうか。

最後に私の持論です。

「人間の幅を広げるものは3つある。人と会うこと。本を読むこと。旅をすることだ」

コロナで出会いを止めない、学びを止めない、経験を止めない、という姿勢が重要だと思っています。

午堂 登紀雄(ごどう・ときお)
米国公認会計士

1971年岡山県生まれ。中央大学経済学部卒業後、会計事務所、コンビニエンスストアチェーンを経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして活躍。IT・情報通信・流通業などの経営戦略立案および企業変革プロジェクトに従事。本業のかたわら不動産投資を開始、独立後に株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズ、株式会社エデュビジョンを設立し、不動産投資コンサルティング事業、ビジネスマッチング事業、教育事業などを手掛ける。現在は起業家、個人投資家、ビジネス書作家、講演家として活動している。著書に『33歳で資産3億円をつくった私の方法』(三笠書房)、『決定版 年収1億を稼ぐ人、年収300万で終わる人』(Gakken)、『「いい人」をやめれば人生はうまくいく』(日本実業出版社)、『お金の才能』『お金の壁の乗り越え方 50歳から人生を大逆転させる』(かんき出版)など。