「もっと知りたい」を英語に活かす

初めて洋画を見たのは、保育園の頃、ディズニー映画の『わんわん物語』でした。小学生になると、ときは1980年代、マイケル・ジャクソンやマドンナ、デヴィッド・ボウイなど、アメリカやイギリスのポップミュージックが日本でも大流行していた時代です。そういった音楽や映画などを通じて自然と英語に興味を持つようになりました。

大学を卒業していったん日本で就職しましたが、やはり海外で生活してみたくてロンドンへ。大学院で美術史を2年間学び、日系の出版社などで何年か働きました。

世界中から人が集まるロンドンには、いろいろな英語を話す人がいます。そこで気づいたのは、「完璧な英語でなくても、言いたいことは意外と伝わる」ということ。1度で通じなくても、落ち着いて聞き返したり、ゆっくり説明したり、失敗を恐れずに意思の疎通を積極的に図ることが何よりも大事だと思います。

翻訳の仕事ではパソコンにインストールした辞書とオンライン辞書をいくつも併用しています。なかでも長年愛用している『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)は、アプリをスマートフォンに入れて、日常生活でもすぐに引くよう心がけています。無料のものも含めてさまざまな辞書アプリが出ていますが、収録語数が多いものはやはり安心感があります。

また、今はインターネットで映画を気軽に見ることができるし、最新ドラマの配信もかなり早い。生きた英語を学べる環境が整っていて、語学習得のチャンスはそこらじゅうに転がっています。気になった単語やフレーズは携帯にさっとメモしておいて辞書アプリで調べれば、気軽に英語力を鍛えられますよ。

インスタグラムと同時に楽しむ

最近では、日本と同じように、インスタグラムなどのSNSで人気に火がついたコンテンツが書籍化される流れがあります。本を出しているインフルエンサーのSNSをフォローして、リアルタイムに発信される言葉とビジュアルを併せて日常的に楽しむのもいいですね。

英語は世界を広げてくれる便利なツール。映画や音楽でも、スポーツやファッションでも、社会情勢やビジネスでも、なんでもいいので、自分が興味のある分野の情報を収集するのに使ってみることが、語学力アップの近道だと思います。

好きなものを増やすようにアンテナを常に張ってみてください。興味を持った時点で、すでに一歩前進しています。臆することなく英語にどんどん踏み込んでいけば、新しい出合いと学びがあるはずです。

“生きた英語” 習得 POINT
1 とにかく好きな作品を選ぶこと。興味を持った時点で一歩前進!
2 気になった単語やフレーズは辞書アプリで気軽にチェック
3 完璧に話そうとしなくても、英語は結構通じるもの
高橋基治(たかはし・もとはる)
東洋英和女学院大学 教授
専門は英語教育、第二言語習得。近年は、学校英文法の実用的運用面を研究。著書に『マンガでおさらい中学英語 やり直しドリル』(KADOKAWA)など。
 

野中モモ(のなか・もも)
翻訳者・ライター
訳書にレイチェル・イグノトフスキー『世界を変えた50人の女性科学者たち』(創元社)、著作に『デヴィッド・ボウイ』(ちくま新書)など。