必要な女性管理職を育成する風土づくり
ダイバーシティ推進委員会副委員長の高橋麻子さんは、このような指摘をする。
「当社の場合、ほとんどの社員がほかの社員にバイアスをかけた見方をしているつもりはないと思う。ただ、もしかすると無意識のうちにしていることも、どこかであるのかもしれない。実は、それは(ダイバーシティを推進するうえでも)アウトなのだ、ということは(会社として)指摘していく必要があるように私は思う」
シャドウイングという1つの研修を通じて、関係者がここまで深い話し合いをすることができる。男性の部長、2人の女性グループ長、ダイバーシティ推進委員会副委員長のそれぞれの考えは重なるものが多いが、微妙に違うところもある。メディアを通じてこのようなことを公にできるのは、ダイバーシティがこの会社にすでに浸透しているからだろう。女性の管理職に限らず、各々の社員がそれぞれの実情や思い、価値観を大切にしながら仕事をして会社や社会に貢献して生きていく。
サトーグループは、今の世相に流されてわずか数年で女性管理職を一気に増やすことはしていない。むしろ、女性の管理職を育成することができる風土や社員の意識改革に力を注ぐ。それが、実は時間がかかるようでいて、もっとも堅実で確実な道なのかもしれない。