2018年は「リカレント教育」元年になりそうだ。リカレント教育とは、基礎教育を終えて社会人になったあと、あらためて就労に活かすため学び直し、また就労するというサイクルを繰り返すことである。民間でリカレント教育を展開している社会人材学舎グループ代表宮島忠文さんは「趣味とは違い、働くことが前提にある学び直し。生涯、社会で活躍し続けるため、よりよく働くために役立つ実利、実益があるもの」と話す。
17年11月、安倍首相は第3回「人生100年時代構想会議」の席上で「リカレント教育」の拡充と財源の投入を宣言した。ベストセラー『ライフ・シフト』が示唆するように、寿命が延び、人生が100年になり、技術革新がめまぐるしい変化の激しい時代には、学校を出て、就職し、そのまま同じ会社で一生を終えることは難しくなる。また、政府としては、人口が減る中、現在仕事をしていない女性や高齢者も労働力として「活用」したい意図もある。
そこで再教育・再就職につなげるため、リカレント教育関連の法整備が検討されているという。その中身は、学ぶために長期で職を離れられる社内制度の拡充や給付金の助成、企業と教育機関の連携による講座創設、IT技術者などの新しい国家資格とそのための教育プログラムの創設、オンラインの単位取得講座の増設・拡充など。「18年の3月末には方針が固まり、産官学の連携が加速する見込み」(宮島さん)だという。
すでに計画が進んでいるのは、実践的な職業教育のための高等教育機関である「専門職大学」「専門職短期大学」だ。文部科学省が19年度に設置予定で、今夏には認可された大学の一覧が公表される。観光、食と農業、IT・コンテンツなどの分野が想定される。社会人が利用しやすいよう、実務経験年数を修業年数に振り替えるしくみもある。ここでの受講は雇用保険の被保険者向けの「専門実践教育訓練給付金」の拡充対象になる予定で、受講料の5割、資格をとり、1年以内に就職に結びつけば7割が給付される。