着実に広がる「信用力」の利用領域
個人の信用力を数値化するスコアリング自体はかねてより行われてきた。それが広く用いられるようになってきた背景には、やはり近年のITの進化がある。データの収集や管理がとても容易に、便利になったのだ。
今回J.Scoreは、「AIスコア」を開始するにあたって、みずほ銀行が蓄積してきたデータと、ソフトバンクが持つ先端テクノロジーを存分に活用。独自のシステムを開発し、ウェブサイト上で簡便に個人の信用力を算出できるようにした。
具体的には、スマートフォンなどで年齢、雇用形態、年収など基本的な18の問いに回答すると、ビッグデータを生かしたAI分析により、回答者の信用力がスコアとして表示される。スコアの算出にあたって、氏名、住所といった個人を特定する情報の入力は不要だ。追加で個人のライフスタイルや性格に関する質問などに回答し、より精緻な分析もできる仕組みにもなっており、サービス提供開始以来、20代~50代の幅広い層のビジネスパーソンがサイトにアクセスしているという。
従来のような画一的な審査とは異なり、回答者の嗜好性や将来性なども考慮しながら評価を行うというのが、やはりこのサービスの特徴だろう。スコアに応じた条件で融資を受ける、受けないは脇に置いて、「まずは自身の信用力を客観的に知りたい」と試している人も多いに違いない。
実際に試してみると、将来の励みに――
そこで今回、精密機器メーカーの経営企画室に勤務する斎藤宏(仮名)さんに、「AIスコア」を試してもらった。スマートフォンでサイトにアクセスし、ニックネームを登録。生年月や性別のほか、業種、職種といった基本的な質問の回答にかかった時間は2分ほど。回答を終えるとすぐ1000点満点中877点というスコアが算出され、融資を受ける場合の上限や年利といった条件もあわせて表示された。
39歳。精密機器メーカーの経営企画室で課長を務める。妻との間に子供二人。趣味は読書、マラソン、スポーツ観戦など多彩。将来は資格を取り、副業を視野に入れている。
「思っていたよりよい結果が出て驚きました。登録はニックネームで済みますし、住所などを入力する必要もないので気軽に試すことができますね」と斎藤さん。「将来は資格を取って副業したいという夢もあり、現在、スクールに通う費用を貯めているのですが、正直なところ時間がもったいないとも感じていました。今回、自分がどれだけの融資を受けられるかもわかり、励みになりました」
そして、「AIスコア」が本領を発揮するのは実はここからだ。先にも少し触れたとおり、質問は基本的なもののほかにも、性格や趣味、お金に対する考え方などさまざまなものが用意されており、それらに答えることでさらにスコアが上がる可能性もある。どの質問に回答するかは自分で自由に決められるので、性格や趣味などいくつかのカテゴリの質問に答えてみた。
追加質問に回答後、改めてスコアを見てみると883点にアップ。融資の条件も、250万円を上限、年利4.3%とより有利なものに変更された。本人のライフスタイルや人となりも考慮に入れることで、より精緻に信用力を割り出す仕組みがつくられている。
「几帳面なところがあるといわれるので、そうした面も考慮してもらえたのかなと思います。『性格』の質問に答えると、その回答をもとにした仕事上の性格診断やアドバイスが見られるのも面白かった。日頃はあまり意識しない、自分の可能性やビジネスとの向き合い方などについても考えるいい機会になったと思います」(斎藤さん)
未来に向けた自己投資――。その新たな選択肢として
このサービスを提供するJ.Scoreは「より自分を高めたいという気持ちをもったすべての人が、安心して挑戦できる新しい日本をつくる」ということを企業のビジョンに掲げている。そして、「AIスコア」のサービスを通し、未来に向けた自己投資などの新たな選択肢を提供していくことを目指すという。
転職や資格への挑戦、子供の教育など、さまざまなライフステージで必要になるのがお金だ。必要なときに意義のある投資を行ったり、悔いのない選択ができるように、個人の将来の可能性までを考慮に入れたスピーディーな融資の手段が用意されているのは心強い。
J.Scoreの「AIスコア」のサービス内容は、現在は信用力のスコア算出と融資が中心だが、今後はさらなるサービス範囲の拡充も予定している。AIスコアの算出には料金は不要で、個人信用機関にデータが残ることがないのも安心だ。これをきっかけに一度自分の信用力をスコア化してみると、自身のこれからを見通し、ライフスタイルを見直すチャンスになるかもしれない。