2015年5月から携帯電話のSIMロック解除が義務化されましたが、これで何が変わるのでしょうか。

2015年5月から、スマートフォン(以下スマホ)など携帯電話の「SIMロック」の解除が義務化された。とはいうものの、それによって何ができるようになるのかわからない人も多いのではなかろうか。

携帯電話には「SIMロック」というものがかかっている。SIMとはSIMカードの略で、小指の爪くらいのICカードに電話番号や契約情報が記録されたものだ。SIMロックがかかっていると、例えばNTTドコモでiPhoneを購入したら、iPhoneはNTTドコモのネットワークしか使えない。仮に、NTTドコモのiPhoneを解約して、auに移行する場合、auと契約するときには改めてauで使えるiPhoneを購入し直す必要があった。

SIMロックを解除すると、NTTドコモのiPhoneはNTTドコモ以外でも使えるようになる。つまり、NTTドコモを解約したあと、これまで使っていたiPhoneを持ってauと契約しても、iPhoneを買い直す必要がないというわけだ。 では、なぜ、わざわざ「義務化」されるのか。実は、2012年にも一度、総務省が主体となってSIMロック解除が導入されたが、auやソフトバンクが積極的に展開しなかったため、盛り上がりに欠ける結果となった。このため、総務省は2015年5月から義務化させることで、SIMロック解除されたスマホを誰でも使えるように環境を整備したのだ。

総務省がSIMロック解除義務化にこだわるのはユーザーが携帯電話会社を移行しやすくなるからだ。また、ここ最近は、イオンや楽天などMVNO(仮想移動体通信事業者=通信インフラを他者から借りてサービスを提供する事業者)による「格安スマホ」が人気だが、SIMロックが解除されれば、今までの携帯電話会社を解約し、そのままスマホを持って格安スマホ会社と契約しやすくなる。

MVNOの潜在顧客は増加している

ユーザーの流動性が高まり、ユーザー獲得のための料金競争が起これば、これまで高かったスマホの料金は値下げされ、今まで以上に使いやすくなることが予想される。

現在、国内の携帯電話市場は、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3グループに集約されており、市場が寡占化され、競争が起きにくいと指摘されている。総務省としては、できるだけ競争を起こさせようと、SIMロックの解除を義務化したのだった。