鉄則4 ネイティブになる必要はない
You don't have to speak like a native speaker.

「アメリカで英語を使うとき、アメリカのスラングを連発したり、アメリカ人のような速さで喋ろうとする日本人がいます。しかし、これはまったく必要ない。むしろ逆効果なのでやめるべきです。アメリカ企業の中にもネイティブでない人がたくさんいます。国際企業はどこも、ネイティブとノンネイティブが入り乱れています。皆にわかりやすい、ゆっくりでクリアな英語を話す。ここも大事なポイントです」

話すときだけでなく、聞くときにも注意したい点はある。安河内氏によれば、これも日本人が苦手なことのひとつという。

鉄則5 聞いていますと態度で示せ
Show that you're listening.

「話している人のほうをまったく見ず、資料に目を落とすだけでは、聞く態度として最悪です。あなたの話をしっかり聞いていますよと、話者の顔を見て、態度で示す。そして、反対なら反対で、自分の意見を言う。アメリカの会議には事前の根回しはほとんどありません。賛成、反対をぶつけ合ってより良い結論をその場で出すための会議です。つまり相手の話をよく聞き、反対ならば会話が中断した瞬間をとらえて割って入る。意思決定のプロセスである会議で存在感を示すにはこれしかありません」

さて、鉄則の最後の2つは、文化の差異の克服だ。

鉄則6 空気を読まず、立場を明確に
Conformity is not the best option.

「その場の空気を読んで不要なこと、失礼と思われることを言わない日本のやり方は世界では通用しない。遠まわしな表現も通用しません。賛成なのか反対なのか。自分の立場を明確にしてから討論をする。これを習慣化する必要があります」

鉄則7 笑顔でがっちり握手せよ
Give a strong shake and smile.

「相手の国と企業の文化に飛びこむべし。相手がフォーマルならフォーマルに。相手がラフな服装なら、自分だけスーツにネクタイというのは、いかにも他人行儀。日本の風習を言い訳にしても、それは通じません。外国人の中には日本人や文化に強い興味を持つ人がいますが、多くの人はほとんど何も知りません。握手はがっちり、そしてハグを求められたらハグを。相手の風習を尊重することは、英語以前に大事な鉄則といえるでしょう」

大きな声で自分を主張、意気投合したら共に喜びを分かち合う。ビジネスパーソンの英語習得のここがスタートでありゴールでもありそうだ。

安河内哲也先生の特別講座 ビジネス英語達成法<index>

Part.1英語を話すための7つの鉄則
Part.2音読学習を成功させる7つの鉄則
Part.3 英語で相手の心をつかむ交渉と会話術7つの鉄則

(大竹 聡=取材、文 中林 香=撮影)