退職金の活用法
まず借金を返済する

老後の資産として頼りにされているのが退職金である。一生同じ職場に勤めた場合の退職金は大卒で約2200万円、高卒事務系で約2000万円というデータがある(厚生労働省「平成25年就労条件総合調査結果の概況」)。

「まず行うべきは住宅ローンなど借金の返済です。借金の金利は、預金金利よりもはるかに高いのが常ですから。退職前から手元資金を使ってできるだけ返しておきましょう。ただ最近の住宅ローンの金利は低いので、金利が1.5%より低ければ、ギリギリまで借りておくという選択肢もあります」

また、資産運用に際して心がけたいのは長期的な視点に立っての老後資金の運用である。

「そこで考えるべきは、資産運用で儲けようという攻めの姿勢ではなく、困った事態に陥らないようにする守りの運用です。儲けようとすれば、必ずリスクを抱えるからです。そこで私が勧めているのが、退職金を受け取った時に一度に全額を投資するのではなく、それ以前から時間をかけて少しずつ投資しておく時間分散投資です。そうすることで市況の良い時も悪い時も投資することになるので運・不運の要素が減り、堅実な資産運用ができます」

早ければ定年前の40代後半から50代にセカンドライフに備えた資産運用(分散投資)を始めることで、老後のリスクを軽減した取り組みができるのだ。

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※65歳まで働き、年金支給は70歳から。60歳時に退職金で借金を返済。55歳からは10年かけて毎年、株と外貨を21万円ほど購入し、インフレに強い資産を形成する。

怖いのはインフレリスク
外貨建て、投信を活用

塚崎氏はインフレへの備えについても言及する。

「頑張ってためた預貯金がインフレによって目減りするのは避けたいものです。日本におけるインフレのリスクは決して小さくありません。労働力不足による物不足や大震災などさまざまな要因が想定されます。そこで重要になってくるのが、資産を株式(投資信託)や外貨(ドルや外国株投信)などで長期保有し、インフレに備えることです」

塚崎氏はドルや投資信託のほか、物価連動国債や、変動金利型国債などインフレに強い国債への投資も推奨する。

自宅を所有することもインフレ対策となる。とくに都心では借家は家賃が高く、物件価格の5%と換算すると20年分の家賃で家が買えてしまう。20年以上長生きするのなら借家と自宅では借家の方が損する計算となる。ましてやインフレにより家賃が高騰する可能性もあり、長生きしてインフレになり家賃の支払いで生活資金が枯渇するリスクの増幅をもたらしかねない。

30代、40代とまだ若いうちは、老後のことは考えられないだろう。

「今は超低金利時代です。若手のビジネスパーソンの方には固定金利の住宅ローンで自宅の購入を勧めます。繰り上げて返済する必要もないので、定年までに少しずつ投資信託と外貨保有による時間分散投資も可能です」

早めに準備をして、長生きとインフレのリスクを回避する手立てを講じれば、セカンドライフは不安なく過ごせることになる。