世界最大のLNG輸出国になる可能性も
1つの資源に依存しない強み
オーストラリア経済を支えているのは資源輸出。人口は約2300万人のため、内需で大きな経済成長は期待できない。「GDP成長率3.25%のうち、輸出が2.5%を占めている」とオスター氏は言う。
中でも収益源となっているのが中国への鉄鉱石輸出。「生産コストが1トン約50ドルのものを約100ドルで販売しているので、収益性は抜群」とオスター氏は解説する。
資源輸出の場合、気になるのが資源価格の変動による影響だ。もしオーストラリアが石油産油国のように、単一の資源しかないのであれば、資源価格や貿易相手国の情勢によって大きなリスク要因を抱え込むことになる。
「オーストラリアの強みは鉄鉱石に限らず、石炭、金、ウラン、ダイヤモンド、ボーキサイトなど、他にもまだ資源が豊富にあることです。特に今後、注目されるのはLNG(液化天然ガス)。大規模開発が進んでおり、現在は世界の輸出シェア5%程度にとどまっていますが、3~4年後には20%程度にまで上昇し、世界一のLNG輸出国になると予想しています」(オスター氏)。
豊富な資源を武器に、アジアと近接している地理的優位性を活かし、中国をはじめアジアの成長を取り込もうとしているオーストラリア。欧米に比べてアジアとの距離が近く、輸送コストなども低く抑えられることなどから、アジアとの関係性を深めやすいポジションにある。将来的に世界経済を席巻するアジアの成長を陰から支えつつ、その果実を享受する独自ポジションを構築するオーストラリアの動向に今後も注視したい。
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