夏休みが終わり、いよいよ受験シーズンがスタート。学習塾の志學舎副塾長・松澤保成さんは「これまで生徒だけでなく保護者にも家庭学習について助言をしてきたが、子どもが勉強していないとき、つい親が言ってしまうNGワードがある」という――。

※本稿は、松澤保成『「自ら勉強する子」の親がしているたった1つのこと』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。

本とノートを持って机に座って問題を熟考する学生
写真=iStock.com/Tran Van Quyet
※写真はイメージです

親がつい言ってしまうフレーズ

「なんで勉強しないの?」

多くの親御さんが、一度は口にしたことのある言葉ではないでしょうか。

この言葉が出るときというのは、心配だからなんですよね。

「やる気がなくなっているのでは……」「遅れていないか……」という不安から、つい口をついて出てしまう。

ただ、この「なんで?」には、子どもにとって責められる響きがあります。

「理由を説明して」と原因を追及されているように感じてしまうのです。

一方で、「最近、勉強はかどってる?」と聞かれたとき、子どもの心は少しだけ「考えるモード」になります。

「うまくいってる?」「何かつまずいてる?」という、その問いの裏には信頼があるからです。

高校1年の男子に母親が声がけすると…

ある高校1年生の男の子の話です。

春から塾に通いはじめたものの、部活との両立でなかなか学習が進みませんでした。

お母さんはあせっていました。

「なんでやらないの?」「もうテスト前だよ!」と口にするたび、その子は「わかってるって!」と部屋にこもってしまう日々。

ある面談のあと、私はお母さんにこうお願いしました。

「『なんで』を『どんな』や『何』に変えてみてください」

その夜、お母さんはその子にこう声かけをしました。

「最近、勉強は何やってるの?」
「どんな教科が進みやすい?」

その子は少し考えてから答えました。

「英語はけっこう続いてるけど、数学は止まってるかも」

お母さんは「そうなんだね。止まってる理由、思いあたる?」と聞くだけに留めました。

数日後、その子は自分から塾の先生に「数学の復習のスケジュールを立てたい」と相談に来ました。

親が「原因を追う質問」から「状況を知る質問」に変えるだけで、子どもは「話してもいい」と感じるようになります。

勉強が動き出すのは、叱られたときではなく、わかってもらえたときです。