なぜ若者は結婚したいのか?

幸せな家族を持ちたいと願う一方で、昔とは違う理由の学生もいます。ゼミで社会保障を教えていることもあって、彼らは皆、子どもが産まれないと今の制度は維持できないと知っています。そして、今のこの状況から、自分たちが年をとるころには社会保障はものすごく手薄になっているだろうと考えています。

前田 正子『子どもの消えゆく国で』(岩波書店)
前田 正子『子どもの消えゆく国で』(岩波書店)

そうなれば最後は1人じゃ生きていけなくなる。互いに助け合う家族がいないと生活が立ち行かなくなる。それが怖いから家族を持ちたいんだと、そう述べる学生もいます。

今後30年間、日本の少子化は止められません。ですから国は、せめてその後の世代が安心して結婚・出産を選択できるようにしていかなければならないでしょう。人は、自分と社会の将来がともに明るくないと、結婚して子育てしようとは思わないものです。

残念ながら、こども家庭庁の23年の調査によれば、日本の若者の6割強は「日本の将来は暗い」と感じています。産みさえすれば育てられる、社会が若い世代と子育てを応援してくれる――。若者が将来にそうした信頼感や安心感を持てるよう、日本は変わっていかなければいけないと強く思います。

取材・構成=辻村洋子

前田 正子(まえだ・まさこ)
甲南大学マネジメント創造学部教授

こども家庭庁審議会委員。専門分野は少子化・社会保障・保育政策。早稲田大学教育学部卒業。松下政経塾を経てノースウエスタン大学にてMBA取得。慶應義塾大学大学院商学博士。第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部主任研究員、横浜市副市長等を経て現職。主な著作に『無子高齢化 出生数ゼロの恐怖』『母の壁 子育てを追いつめる重荷の正体』『子どもの消えゆく国で 「無子高齢化」と地域の子育て』(岩波書店)。