早期完済する人のトータルコストを低減
――みずほ銀行の「借入時負担ゼロ型」住宅ローンとはどういうものでしょうか。
一般的な住宅ローンは、取扱手数料として元金の2.2%程度を借入時に一括でお支払いいただく形になっています。多くの金融機関で、いわば業界の通例として行われているものですが、この手数料は返済期間にかかわらず定額で、繰上返済などで早めに完済された場合もお客さまの手元には戻らないことがほとんどです。
そのため、近年は早期完済予定のお客さまから、少しずつ疑問の声が寄せられるようになっていました。こうした声にお応えしようと開発したのが、業界初(*1)の「借入時負担ゼロ型」住宅ローンです。
*1 オリコン顧客満足度ランキング『住宅ローン』の対象銀行136行を対象に調査会社調べ(2025年9月4日時点)
住宅ローン借入時にかかる初期費用を0円(*2)とし、その分を金利に上乗せするプランで、短期間で完済される場合は通常の住宅ローンよりトータルコストを低く抑えられます。これによって、より幅広いお客さまのニーズに対応できるようになりました。
*2 初期費用として銀行手数料以外の費用(抵当権設定関係費用・印紙代など)や完済時の手数料が別途かかります。
この支払方法では、通常の住宅ローン金利に年0.2%程度を上乗せさせていただいています。一般的な手数料は元金の2.2%程度ですから、目安として現在の金利水準では借り入れから13年以内に完済する場合にトータルコストを抑えられるというメリットがあります。
もちろん、利息の負担は元金が減るにつれて小さくなっていきますので、この間に繰上返済を重ねた場合は、13年という損益分岐点が残額に応じて14年、15年と先に延びていくことになります。
――現在の主な利用者層を教えてください。
「借入時負担ゼロ型」の利用者層としては、まずは比較的若い共働き世帯が挙げられます。近年は夫婦がともに正社員として働く共働き世帯が非常に増えており、中にはお子さんの成長に合わせて住み替えを検討される方も少なくありません。
まだお子さんが小さいときは、通勤に時間がかからない職場に近い場所に住み、ある程度資金に余裕ができてお子さんも大きくなってきたら、より広い家や教育環境が整っているエリアなどに住み替えるという形ですね。共働き家庭は資金ができあがってくるのも比較的早いので、そのぶん選択肢も広がりやすい傾向にあります。
もう一つの層として、40代後半から50代の方々も多くいらっしゃいます。お子さんの独立などを機に住み替えて、近い将来の退職金で完済を予定しているといったケースです。つまり「借入時負担ゼロ型」は、共働き世帯と、ある程度まとまった額の資金計画をお持ちの方々に選ばれているということが言えるかと思います。
個人ローン推進部
部長
村田 成穂(むらた・しげほ)
きっかけは「お客さまのお役に立ちたい」という思い
――他行に先駆けて商品化に踏み切ったのには、どんな理由や経緯があったのでしょうか。
販売開始は2024年8月で、商品化の検討が始まったのはその1年ほど前です。前例がない商品を企画し、発案から導入までスピード感をもって開発できた理由としては、やはりお客さまの声に向き合いたいという思いが大きかったと思います。
初期費用という慣習に疑問や不便を感じているお客さまに対し、何か少しでもお役に立てないだろうか――。そんな思いが、商品化への原動力になりました。住宅ローンの売り上げを爆発的に伸ばすような商品ではないけれど、多くはなくとも確実に存在している「お客さまの声」にきちんと応えていこうと。そこを軸にして検討を重ねた結果、早期の商品化へ至ったのです。
みずほフィナンシャルグループは、「ともに挑む。ともに実る。」をパーパスに掲げています。私たちも「お客さまとともに」という想いで日々の業務に取り組んでおり、それを形にしたものの一つが「借入時負担ゼロ型」だと考えています。今後もみずほ銀行ならではの姿勢を大事にしながら、小さな進歩を積み重ねていきたいですね。
――利用者からはどんな声が寄せられていますか?
住宅ローンは借入金額が大きいので、お客さまの最大の関心ごとはやはり金利です。しかし、みずほ銀行の金利は業界で最も低いとは言えません。そうした中でも、お客さまからは「複数の金融機関を比較検討したが、借入時負担ゼロ型があるからみずほ銀行を選んだ」という、うれしいお声をいただいています。
みずほ銀行では他にも、例えば住宅の引き渡し前に「手付金」「着工金」「中間金」等の複数回の支払いに対応できる「分割融資」や、現在お住まいの家を売却する前に新しい家を購入する「買い先行」などでの借り入れも可能です。
また、お客さまに対しては、対話を重ねること、いわゆる“壁打ち”のお相手になることを大事にしています。住宅ローンを組む過程では、色々と悩まれる方も少なくありません。金利や保険のことから万が一のときの備えまで、ニーズを引き出しながら、ともにベストなプランを考えていきたいですね。
そうした対話の場として、みずほ銀行では個人ローンのお申し込みやご相談を承る専門拠点「ローンコンサルティングスクエア」を、首都圏や近畿圏に展開しています。経験豊富なローン専門スタッフが常駐していますので、住宅ローンをはじめ個人のローンに関して安心してご相談いただけます。
多様なライフプランに合った選択肢を提供
――近年は住宅ローン利用者の意識も変わってきているのでしょうか。
私は入社後10年ほどリテール部門で働いており、その中で住宅ローン業務にも一生懸命取り組んでいました。その後は人事部門で15年ほど制度設計を担当し、2025年に現在の個人ローン推進部に異動してきました。再び住宅ローン業務に携わるようになって思ったのは、以前に比べると近年はお客さまのライフプランが非常に多様化しているなということです。
そして、ご自身のライフプランをどう実現していくか、さまざまな選択肢の中でしっかり考えていらっしゃいます。多様なニーズに接するたび、やはり時代は大きく変わったのだなと感じます。
また、人事部門にいた頃にも、共働き世帯の増加や女性活躍推進といった社会の変化もつぶさに見てきました。こうした変化は、住宅ローンの利用の仕方にも影響を与えていると実感しています。
従来の住宅ローンはご夫婦のどちらか一人が組む形が一般的でしたが、近年は二人で組むケースも増えていますし、お子さんも2人以下というご家庭が多いので、「マイホーム=郊外の広い家・終のすみか」といったイメージにとらわれずに住居を選ぶ方々も増加しています。自由度の幅が大きく広がりつつある時勢だからこそ、これからは住宅ローンも多様な選択肢をご用意していく必要があると思っています。
――今後の目標をお聞かせください。
「借入時負担ゼロ型」は、現在みずほ銀行住宅ローン利用者の約2割の方にお選びいただいており、一定のご支持をいただけているものと受け止めています。ただ、この数字をいつまでに何割に引き上げたいといった目標は設定していません。
もともと、「初期費用」を抑えたい方、将来の完済時期に見通しがある方など、商品を必要とされているお客さまにしっかり届けようと始めた取り組みですので今後も「借入時負担ゼロ型」の売り上げを伸ばすことより、“選択肢の一つ”として誤解のない説明と試算を通じて適切にお届けしていくことに重点を置いていくつもりです。
私たちは、こうした金利以外のお客さまの状況に合った価値提供に注力して取り組むことで、お客さまに寄り添い、さまざまなニーズに応えていきたいと考えています。手間暇はかかりますが、それがみずほ銀行の基本姿勢であると言えるでしょう。これからもお客さまの声を大切に、対話を重ねながら、ともに成長していきたいと思います。