インデックス投資を中心に資産形成を続けてきた場合、「次の一手」をどう選ぶべきか。個別株投資よりもリスク分散効果が高く、かつ選択のハードルが低い手法があれば理想的だ。その有力な選択肢が「セクター投資」である。ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント(ステート・ストリート)のヴァイス プレジデントで、セクター・セールス・スペシャリストの山口美帆氏に、セクター投資の魅力を聞いた。

分散しながらパフォーマンスを追求

――「セクター投資」とはどんな投資手法なのでしょうか。インデックス投資と比べると、どんな特徴がありますか。

【山口】セクター投資とは、上場株式をセクター(業種、産業)に分類し、それぞれのセクターの複数の銘柄に投資する手法を指します。

インデックス投資は、日経平均株価やS&P500のように、特定の市場の指数に連動した値動きを目指すので、低コストで広範に分散投資ができますが、指数以上のリターンは狙いにくくなります。セクター投資は複数の銘柄を組み入れるので分散効果がありますが、同じセクターの銘柄に集中するので、インデックス投資よりは価格変動が生まれやすい半面、利益を追求することができます。

各セクターのパフォーマンスを見ると、年によって大きな違いがあります。例えば、直近で最大・最小のリターン差が特に大きかったのは、コロナ禍で市場の変動が激しかった2022年です。この年は、エネルギーが約60%のリターンを記録する一方で、コミュニケーション・サービスは約40%マイナスと、セクター間で明暗が大きく分かれました。リターンを求めて自分でセクターを選択できるのが、セクター投資の面白いところです。

山口美帆(やまぐち・みほ) ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント ヴァイス プレジデント セクター・セールス・スペシャリスト
山口美帆(やまぐち・みほ)
ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント
ヴァイス プレジデント
セクター・セールス・スペシャリスト

――業種による分類というと、TOPIXの「機械」「電力・ガス」「素材・化学」「小売」といった分け方が思い浮かびます。セクターとはどんな分類なのでしょうか。

【山口】S&P500では、「世界産業分類基準」に基づき11セクターで分類しており、ステート・ストリートでは、この分類に基づいたセクターごとのETF(上場投資信託)を投資家にご提供しています。

このセクターの分類は、海外ではよく知られているのですが、TOPIXの業種の分け方とは考え方が異なり、「企業が何を売って、どう稼いでいるか」という消費者視点で分類しています。

ステート・ストリートの「セレクト・セクターSPDR® ETFシリーズ」
S&P500は投資初心者にもなじみのある指数であり、各セクターはもちろん、S&P500の構成銘柄のみで構成されているため、安心感を持って投資に取り組みやすい。

例えば、「コミュニケーション・サービス」(ETFティッカー:XLC)にはFacebookを運営するメタ、Googleを運営するアルファベットなどのプラットフォームサービスのほか、通信キャリアのAT&Tやベライゾン、動画配信のネットフリックスなどが含まれます。メタやアルファベットは、AIによる広告精度向上で成長が見込める企業である一方、景気に左右されにくく安定収入が期待できる通信キャリアも入っており、同じセクターの中でもリスク分散されています。「公益事業」(XLU)は、電気、ガス、水道などが対象で、景気が悪くても安定収益が期待できます。最近はデータセンターやAIのニーズの高まりで電力需要の伸びも見込まれます。

このほか、「一般消費財」(XLY)は、車、旅行、外食、アパレルなどのぜいたく品を製造販売するセクターで、アマゾン、テスラ、マクドナルド、スターバックス、ホテルで有名なマリオットグループなどが組み入れられています。「生活必需品」(XLP)は、生活に必要なものを製造販売する企業群で、スーパーマーケットのウォルマートや日本でも人気のコストコ、コカ・コーラ、P&Gなどが該当します。「資本財」(XLI)は機械、建設、物流、防衛などのインフラ企業で、GE、ボーイング、ウーバーテクノロジーズなどが入っています。

――「テーマ型投資」とはどう違うのでしょうか。

【山口】「ロボット」「AI」「バイオ」など特定のテーマを選び、そのテーマに沿った株式に集中して投資する「テーマ型投資」と似た印象を受けるかもしれません。しかし、テーマが同じであればその中の銘柄の価格は連動して動くことが多いので、テーマ型投資はセクター投資に比べてリスク分散投資効果が低い傾向にあります。

S&P500と比較した、各セクターの価格変動
出所:Bloomberg Finance L.P., 2026年3月31日時点。過去の運用実績は、将来の成果を示唆するものではありません。指数リターンには、キャピタル・ゲインおよびロス、インカム、配当の再投資が反映されています。分散投資は利益を保証するものではなく、損失を防止するものでもありません。セクター分散は、S&P500セクター指数間の最大リターンと最小リターンの差を用いて算出しています。サイズおよびスタイルのパフォーマンスは、S&P500バリュー指数、S&P500グロース指数、S&P SmallCap 600指数によって表しています。

――「分散」というと、銘柄やテーマだけでなく、国や地域で分散することも重要だといわれます。S&P500という米国のセクターに注目するのはなぜでしょうか。

【山口】米国はグローバル企業も多く、S&P500構成銘柄の売上の約4割は海外からの収益とされており、どの産業も上場企業のすそ野が広くて厚みがあります。さらに、マーケットが成熟しており透明性が高く、世界中から資金の流入が継続しているため取引量が多くなり、流動性も担保されています。こうした状況は今後も続くでしょう。

「コア」はインデックス、「サテライト」にはセクター投資を

――ポートフォリオには、セクター投資をどのように組み入れたらいいのでしょうか。

【山口】資産を、安定運用を目指す“守り”の「コア」(中核)と、積極運用でより高いリターンを目指す“攻め”の「サテライト」(衛星)に分けて運用する「コア・サテライト戦略」という、資産運用の基本的な考え方があります。まずはインデックス投資をコア資産として運用し、セクター投資をサテライト資産として運用するのも考え方の一つかもしれません。セクター投資は、リスク分散効果の面でも、後述する保有期間の面でも、ちょうどインデックス投資と個別株の中間的な特徴を持っています。

――個別株を選ぶほどの難しさはなさそうですが、セクターはどんな視点で選べばいいのでしょうか。

【山口】セクター選びについては第2回の記事で詳しくご紹介しますが、押さえるべきポイントは大きく三つあります。

一つ目は、景気の局面です。今の経済が「回復」「拡大」「減速」「後退」という、どのサイクルにいるかを見極めること。二つ目は、金利や原油価格などのマクロ指標。三つ目は、企業の業績や資金フローなどの全体トレンド。いずれも、それぞれのセクターに異なる影響を及ぼすので、この三つをトータルに見て、「今、こういう状況だから、次はこのセクターとこのセクターが伸びそうだ」などと考えて判断するといいでしょう。

ただ、例えば景気の局面を判断するのは簡単なことではなく、経済の専門家でさえ意見が割れることはよくあります。だからこそ、三つのうちの一つだけを見るのではなく、三つすべてを考慮に入れることが大切です。

「判断して選ぶ」投資の面白さを感じてほしい

――ポートフォリオに組み入れるタイミングはどう考えればいいのでしょうか。

【山口】あまり慎重になりすぎる必要はありません。例えば「『回復期』だと思ってこのセクターに投資したけれど、どうやら『拡大期』のようだ」と思ったら、そのセクターを売って別のものを買ってもいい。もちろん、売買には手数料がかかるためあまり頻繁に入れ替えることはおすすめしませんが、ステート・ストリートのセクターETFの経費率(運用手数料)は0.08%と業界最低水準なので、3カ月、半年、1年といった期間で状況を判断するといいと思います。

コアのインデックス投資のように、長期保有を前提とするのではなく、四半期~1年単位で機動的に調整していくのです。ETFは少額から始められるので、慣れてから少しずつ増やしてもいいでしょう。

――これまでインデックス投資が中心で、「自分で判断して選ぶ」ことに慣れていない人は多そうです。

【山口】そんな人が、最初にサテライトに組み込むのに、セクター投資はちょうどいいと思います。

ステート・ストリートのセレクト・セクターSPDR® ETFシリーズは、1998年に設定された歴史あるETFで、運用残高は3,400億米ドルに上ります(2026年3月31日時点)。また、S&P500の11セクターすべてを網羅した公式ETFを揃えているのはステート・ストリートだけです。S&P500という同じベンチマークで11セクターを比較できるのは大きな強みであり、選びやすさにもつながっています(XLCとXLREのみ2018年、2015年にそれぞれ設定)。

投資において何かを「選ぶ」以上、不確実性を完全に避けることはできません。ただし、短期的な損得に一喜一憂するのではなく、時間をかけて環境や前提の変化を少しずつ読み解きながら判断していくことで、投資は長期的な資産形成のための前向きなプロセスになります。セクター投資は、市場の動きを理解しながら、小さな判断を積み重ねていくことができる点で、そうした考え方を実践しやすい手法の一つです。中長期の視点で市場と向き合うきっかけとして、ぜひ活用してみてほしいと思います。

当広告は情報提供のみを目的として作成したものであり、金融商品取引法およびその他日本の法律に基づく開示資料ではありません。お申込みに当たっては、必ず上場有価証券等書面や交付目論見書またはその他の開示資料の内容をご確認の上、ご自身でご判断ください。購入のお申込みや売買手数料等につきましては、当該ETFを取扱いの金融商品取引業者(証券会社等)までお問い合わせ下さい。

ETFに係るリスク
ETFは、値動きのある有価証券等を主な投資対象としますので、連動対象である株価指数等の変動、組入有価証券等の価格の下落、組入有価証券の発行会社の倒産や財務状況等の悪化、その他の市場要因等の影響等により、市場取引価格または基準価額が値下がりし、それにより損失が生じることがあります。また組入有価証券は為替相場の影響を受けるものもあるため、為替の変動により基準価額が下落することがあります。したがって、投資家の皆様の投資元金が保証されているものではありません。
※ETFのリスクは上記に限定されません。

ETFに係る費用
市場を通してETFに投資する投資家の皆様には以下の費用をご負担いただきます
・売買手数料(お申込み時にご負担いただきます)
ETFの市場売買には、取扱い第一種金融商品取引業者(証券会社)が独自に定める売買委託手数料がかかり、約定金額とは別にご負担いただきます。(取扱会社毎に手数料率が異なりますので、その上限額を表示することができません。)
・保有時の費用
ETFの保有期間中は運用管理費用等を間接的にご負担いただきます。保有時の費用の率(総経費率)は個別のETF毎によって異なり、また運用状況や保有期間等に応じて異なることからその上限額を示すことはできません。
個別のETFの情報についてはウェブサイトの各ファンドページにてご確認いただけます。

ご注意事項
ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社は、ETFについて、直接、投資家の皆様のお申込みを承っておりません。
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ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社
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