国も支援を始めている企業と用地のマッチング外部支援の効果的活用を
工場や物流施設、研究開発施設、また店舗、事業所など、今、新たな拠点の設置を考えている企業にとって、基本的な課題は立地場所の不足だ。一般財団法人日本立地センターによれば、全国の産業用地の分譲可能面積は2005年時点で1万8000ヘクタール超だった。それが、24年時点で1万ヘクタールを切るまでに減少している(一般財団法人日本立地センター「産業用地ガイド」より)。
都道府県などが産業団地を造成しようとしても、まず「用地の確保」が壁になる。さらに「開発資金の確保」も難しい。加えて「開発ノウハウを持つ職員の不足」を課題に挙げる自治体も少なくない(経済産業省による都道府県・政令市向けアンケート[2023年]より)。いずれも構造的な問題のため、一朝一夕には解決できない。その中で自社の計画に即した場所を見つけるには、これまで以上に精緻なリサーチが求められる。
企業の立地先探しについて、国も支援を始めている。経済産業省による「産業用地マッチング事業」では、下のような実施スキームで企業をサポート。自治体などへのアプローチを後押しする。相談無料で、全国の用地情報を網羅。匿名で物件の調査が可能な点もメリットだ。希望の用地が見つかった場合、自治体との直接商談も事務局が調整してくれるという。
ニーズに合った立地先を探すに当たり、専門機関の知見やネットワークは大きな助けになる。行政などに限らず、外部の支援策や情報にもしっかり目を向ける必要があるだろう。
用地取得に難航する企業が増加する傾向に事前に注意点のチェックを
産業用地不足が叫ばれる中、企業の立地計画の状況はどうなっているのか。一般財団法人日本立地センターの「2025年度新規事業所立地計画に関する動向調査結果」を見ると、事業拠点の立地計画(新設・増設・移転)が「ある」と回答した企業は18.8%。前年度から2.5ポイント減少したものの、同センターは「依然として企業の新規立地意欲は底堅いものと考えられる」とし、立地意欲の要因として「サプライチェーンの強化」「半導体関連分野への積極投資」「GX分野における新たな投資」「労働力不足への対応としてのDX投資」などを挙げている(同調査結果から抜粋)。
また、注視したい同調査の結果の一つに「用地取得の難航経験の有無」がある。産業用地の取得に難航したかについて「ある」という回答が19.3%で、前年度より5.9ポイント増加している。難航の結果、多くの企業が立地計画の遅延や中止、規模縮小などの影響が出たとしている。
具体的に難航した理由は、下のとおりだ。立地計画の変更は、当然経営戦略の実行の妨げにもなる。土地利用の規制や周辺環境をはじめ、各項目を立地戦略策定の際の注意ポイントとして認識しておきたい。
地域の実情や将来を把握することが立地戦略の精度を高める
事業拠点の立地が情報戦の様相を強める中で、知っておきたい情報ツールの一つに「地域経済分析システム」(RESAS)がある。経済産業省と内閣官房が15年から提供しているデータプラットフォームだ。地域経済に関する官民のビッグデータを地図上に示したり、グラフにしたり、分かりやすく、簡単に、見える化することができることからユーザーの支持を得ている。
例えば下のように、ある市の現在と将来の人口ピラミッドを比較したり、お金の流れを調べたりすることが可能。その他にも豊富な分析メニューが用意され、完全無料でID登録も不要だ。インターネット上で誰でも使えるので、非常に便利である。
地域の実情や将来見通しを把握できれば、企業の立地戦略の精度は高まる。新たな気付きが立地戦略の見直しにつながる可能性もあるだろう。その意味で、RESASは企業の経営層や立地担当者にとって有効なツールといえる。
産業立地環境の整備について、近年は民間企業が、また民間企業と自治体が連携して、特徴を持った産業団地やマルチテナント型の施設を開発する例も多く見られる。それらが自社のニーズと合っているかを判断するためにも、まずは確かな情報の下、立地戦略を策定することが求められる。

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