<特別座談会>こども家庭庁×日本マクドナルド株式会社×江崎グリコ株式会社
子育ての支援などが経営に何をもたらすか
【湯山】こども・若者を取り巻く多様な課題を解決するには、国や地方自治体が福祉を提供するだけでなく、社会の在り方自体を変えていくことが重要。その意味で企業などとの連携も不可欠です。一方で、企業が「こどもまんなか」の視点を持つことは経営課題の解決や企業価値の向上にもつながると私たちは考えています。
こども家庭庁
長官官房 参事官
【若生】確かに、江崎グリコは例えばD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の推進に積極的に取り組んでいます。そこで当社は、多様な働き方や仕事と家庭の両立を実現すべく、まさに子育ての在り方を見つめ直す取り組みを進めています。
【仲】「ピープルビジネス」を掲げるマクドナルドでも、誰もが自分らしく働ける環境を重視して出産や子育てを多面的にサポートしています。それが社員のエンゲージメントを高めることにつながり、またそうした企業姿勢を追求することは経営課題である人材確保にもプラスに働くと考えています。
日本マクドナルド株式会社
人事本部 フィールドHR部 統括マネージャー
【湯山】人口減少が急速に進む今、個々の人材の力を引き出し、次の世代を育てていくことは日本全体の課題ですね。それぞれ具体的にどのような取り組みを進めていますか。
【若生】江崎グリコでは独自の「Co育てPROJECT」を推進する中で、男性従業員も育児を目的とする有給休暇を1カ月間取得することを制度化しています。すると多くの人が“こどもが何を必要としているか”を体感して戻ってくる。新たな価値観が商品開発やサービスなどにも還元されています。
江崎グリコ株式会社
乳業事業部 マーケティング部 ニュートリションマーケティンググループ長
【湯山】取り組みが経営のパーパスや課題解決と結び付いている点がやはりポイントですね。取り組みが企業価値の向上とも結び付けば、より持続的なものになると思います。
【仲】日本マクドナルドの直営店舗には店長が産休や育休、介護などで休職する場合、サポート店長という立場の人が店舗運営を支援する制度があります。これによって、子育てやワークライフバランスを大事にしたいという人もキャリアを継続でき、実際に育休の取得率増加や女性店長比率の増加などの効果を生んでいます。
企業の取り組みの「見える化」を後押し
【湯山】こども家庭庁は「こどもとともに成長する企業構想」という形で、今後、企業の取り組みをさらに後押しする考えです。一つには各社の活動を「見える化」し、採用市場や消費者の評価にいっそう反映させる仕組みを整備したいと思っています。
【仲】マクドナルドではお子さんが店舗でお仕事体験をできるプログラムや店舗のアルバイトも参加できる人材育成プログラム(ハンバーガー大学)を実施しています。働く楽しさやリーダーシップの大切さなどを実感できるものとなっていますから、その意義や価値をより広く発信できるようになればうれしいですね。
【若生】江崎グリコは2019年に日本で初めて国産の乳児用液体ミルク「アイクレオ 赤ちゃんミルク」を発売しました。災害時の備えや育児負担の軽減、双子や三つ子といった多胎児家庭のサポートなど、社会課題の解決に貢献できる商品として、多くのご家庭から「あって助かった」と言われる商品になってきています。必要とされる方々に商品をお届けすることで、安心して子育てできる環境づくりを応援してまいります。
【湯山】「こどもまんなか」という社会的価値の創出を企業価値の向上とつなげることも重要と考えています。そのための環境整備や地方の中堅・中小企業の支援を計画しています。こどもを応援したいという思いを持ちながら、一歩踏み出せない企業への伴走支援をスタートさせます。
【仲】マクドナルドのフランチャイズオーナーの多くは、地域に根差して事業を営む中小企業です。地域の企業が自社の価値を高めながら経営課題の解決に取り組むことで、それは日本全体の活性化にもつながっていくはずです。
企業がこども家庭庁との連携で得られるもの
【湯山】こども家庭庁による企業支援の実効性を高めるにはお互いの対話が大切。企業の置かれている状況やボトルネックを把握することが、質の高い支援の基盤になります。企業にもこども家庭庁の情報や施策をうまく活用してほしいと思っています。例えば、「こどもまんなか」の課題を共有することが、企業の取り組みにも参考になるはずです。また現在、金融機関と連携し「こどもまんなか」と企業価値の向上の関係を明らかにする分析も進めています。先行事例・ガイドラインの提供、情報提供の枠組みづくりなど企業価値への還元施策も進めていきます。
【若生】1922年の創業以来、こどもの健やかな成長を応援し、現在自社のパーパスを「すこやかな毎日、ゆたかな人生」としている当社にとって、「こどもまんなか」は欠かせない視点の一つです。行政を含め多くの皆さんと対話しながら、事業活動を通じてその具現化にいっそう貢献していきたいと思います。
【仲】こども家庭庁をハブとして多くの企業や地域が横のつながりを持てるといいですね。それによって取り組みの輪はさらに大きなものとなっていきます。マクドナルドも「おいしさと笑顔を、地域の皆さまに」というパーパスの下、役割を果たしていければと思います。
【湯山】ありがとうございます。多くの皆さんと思いや課題感を共有し、これからもこどもや若者が幸せに生きられ、こどもとともに企業も成長できる社会の実現に尽力していきます。