「鉛筆がなければ現地で借りればいい」

一方で、私は過去に、校門前で喧嘩する親子も見てきました。「なんで鉛筆を削ってくれなかったの!」「受験票が見当たらない!」と言い合っているのです。つまり、親が先回りして準備してあげることが当たり前になっている。これは子供がそれに依存してしまった結果です。

指をさされる子供
写真=iStock.com/Yellyana Hardi
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このような状態で試験に臨んでも、良い結果には繋がりづらいでしょう。朝から喧嘩して消耗してしまえば、難問に立ち向かう力など残りません。逆に言えば、戦うのはお子さん本人なのですから、受験票や筆記用具の準備段階から任せたほうがいいのです。

「なければ現地で借りればいい」くらい腹を括れるような家庭であれば、お子さんも本番で動じることなく本来の実力を発揮できるでしょう。

余談ですが、受験生を疲弊させてしまう親の行動は、試験から帰ってきた直後にもあります。たまに聞くのが、「試験の答え合わせ」と「勝手な分析」です。

試験から家に帰ると、つい「どうだった? できた?」と聞きたくなる気持ちはわかります。熱心な親御さんほど、問題用紙を見せてもらい、「今年はここが出たのね」「この問題は簡単だったじゃない」と分析を始めたり、塾やネットの速報を見て勝手に丸つけをしたりします。

はっきり言いますが、これは絶対にやめてください。百害あって一利もありません。なぜなら、親の分析など当てにならないからです。また、塾の解答速報があっているとも限りません。変な混乱を生み、場合によっては疲れを溜めてしまいます。

終わった試験の結果は変わりません。変えられるのは次の日のパフォーマンスだけです。家に帰ったら、済んだ試験の話は一切せず、「お疲れさま、ご飯食べようか」と日常に戻してあげる。それでいいのです。

親の言葉は少なければ少ないほどいい

ただ、応援したいと思う親御さんは多く、それは自然な気持ちだと思います。ではどうすればいいのか。講演などでよく聞かれるのが「どんな言葉をかければ子供がやる気になるでしょうか」という相談です。しかし、私が子供たちからよく聞くのは、親にはとやかく言われたくないといった話です。

子供たちが「これを言われるのが嫌だ」と口を揃えるのが、「ミスするなよ」とか「字は綺麗に書くんだよ」といった具体的な指示です。子供たちに言わせれば、これらは励ましではなく、「お前はミスをするに違いない」と親から信用されていないとも受け取れるようです。

また、「社会は時事問題が出るからね」といった教科の中身への口出しも嫌なようです。「そんなことわかってるよ」というのが、本音でしょう。「大丈夫だからね」という励ましも、子供は敏感ですから、「もし落ちたら親を悲しませることになる」と捉えてしまう子もいるようです。

ですから、言葉は少なければ少ないほどいい、というのが私の考えです。その代わり「ボディランゲージ」で伝えるのはどうでしょう。コロナ禍であまり会話ができない時期に気づいたのですが、あの時期、私は試験前日などに無言でグータッチして送り出していました。その時、言葉よりも遥かに強く、子供たちが「やってやるぞ」という目に変わるのを何度も見てきました。家族であれば、言葉以上のことが伝わるかもしれません。ぜひ試してみてほしいです。