トヨタ・JR東海などが設立「日本版イートン校」

④海陽中等教育学校(愛知県・偏差値45)

最後に紹介したいのは、海陽中等教育学校(愛知県、最低偏差値45)。卒業生約80人の少数精鋭で、他に類を見ない教育環境を持つ男子校である。7人に1人が東大・京大・早慶、半数近くが国立大学へ進学する。同偏差値帯の中堅一貫校では頭一つ抜けている存在だ。

海外のエリート養成校をモデルとした全寮制の中高一貫校で、トヨタ、JR東海、中部電力を中心とした企業の支援を受けて運営されている。全校生徒が寮生活を送り、他県出身者が約半数、首都圏出身者が3割、海外出身者も在籍するなど、多様なバックグラウンドを持つ生徒が集まる。人気漫画『二月の勝者』の作中に登場する学校のモデル校として知られるのも、この特異な環境ゆえだ。

学習面では、中学段階から習熟度別クラスを取り入れ、英数を中心に基礎学力を徹底。寮生活では、就寝前に毎日2時間の夜間学習が組み込まれ、自学自習が基本ながら巡回する教員による質問も可能など、自律と管理を併せ持ったフォロー体制となっている。

海陽中等教育学校。愛知県蒲郡市。
海陽中等教育学校(写真=Evelyn-rose/CC-Zero/Wikimedia Commons

若手社員と寝食を共にするワケ

進学実績一辺倒ではない「全人教育」を掲げ、対人応力・問題解決能力・自己管理能力の3つを重視している。その象徴が、フロアマスター制度である。企業から派遣された若手男性社員が1年間寮で生徒と寝食を共にし、生活指導を行う。大学受験だけでなく、キャリアや社会のリアルを若手社会人から直接聞ける環境は、他校では得られない生涯の財産となる。

ただし、徹底した生活管理を行うため、“監獄系”と揶揄されることもある。平日の自由時間は食事・入浴を含めて約2時間。休日には外出も可能だが、生徒を選ぶ環境であることは間違いない。学校方針に生徒・保護者とも賛同できるならば、指示待ちではなく自ら考える力を伸ばす環境が用意されている。進学実績のみにとどまらず、長期的に見てもコスパが高いといえそうだ。