附属学校は「先進医療」である

国立大学附属学校を医療にたとえるなら、私は先進医療だと思っています。先進医療とは、エビデンス豊富な「優れた医療」としてはまだ確立されていません。まだ十分に検証されていない、実験段階の医療です。

効果があるかもしれない。しかし、思うような結果が出ないこともある。副作用が見つかることもあります。それでも、医学を前に進めるために、患者の理解と同意のもとで行われる。

附属小学校も同じです。最善が保証された教育の場ではありません。試行錯誤と検証の只中にあり、遠回りや失敗も含まれます。だからこそ、「入れば安心」「必ずうまくいく」という期待とは、根本的に相容れません。

有名私立附属校とは、まったく違う

国立大学附属学校は、エスカレーター式の有名私立附属校と同じだと思われがちですが、国立と私立ではまったく違います。有名私立附属校の多くは、大学までの一貫教育と、豊富な寄付金を背景に、整った設備と安定した環境を提供しています。

国立大学附属学校は、決して至れり尽くせりの学校ではありません。設備も、文部科学省の予算不足で、正直言って校舎や備品もだいぶ古い。それでも、保護者としては、国立大学附属小学校に入れてしまえば、わが子はエリートコースに乗って、いい大学、いい会社に入ってくれるはずで、子育ては一丁上がりという感覚の保護者もいるかもしれません。でも、それは間違いです。

なぜなら、前述したように、ここは完成された教育を提供する場ではなく、研究と実験の機関だからです。国立附属学校を選ぶということは、エスカレーターに乗ることではありません。教育の未完成さを、引き受ける選択です。

東京学芸大学附属竹早中学校
東京学芸大学附属竹早中学校(写真=あばさー/PD-self/Wikimedia Commons

都内には、筑波大付属やお茶の水女子大附属、東京学芸大付属などの小学校があり、慶應幼稚舎や早稲田実業初等部、青山学院初等部、学習院初等部などの私立と併願する家庭も多いです。毎年各校で数回実施される選抜テスト(抽選や学力試験、親子面接など)の倍率は何十倍になるほどの人気です。

しかし、国立大学附属学校は「ブランド」ではありませんし、教育機関としてはその後の児童の「進学」に必ずしも熱心というわけではありません。そうした価値観がわが子に本当に合うのか。そして、うまくいかなくても引き受ける覚悟があるのか。

中学受験とともにヒートアップしている国立大学附属小の受験に際して保護者にはそうした包容力が求められているのかもしれません。