受験生がイライラする性格以外の理由
脳と腸は自律神経系、免疫系、ホルモン、そして腸内細菌が産生するさまざまな代謝物質で常に双方向で連絡を取り合っています。
代表例としては、セロトニンやその前駆体であるトリプトファンは、腸内細菌の働き次第で気分の安定や睡眠の質に影響を及ぼします。また、腸内細菌が作る短鎖脂肪酸は脳のグリア細胞に作用し、神経の配線が強化される力をサポートしています(※)。
※ Makki K, et al. Dietary fibers as beneficial microbiota modulators: focus on SCFA. Nutr Res Rev (2021).
一方、腹部膨満や便秘があると交感神経が優位になり、「カリカリ・そわそわ」緊張モードになりがちで、落ち着いて問題文を読んだり、集中して計算をするベースが崩れるのです。
受験期のイライラや不安感も、単なる性格だけの問題ではありません。「腸→脳」の一方向だけでなく、「脳→腸」へもストレスが波及し、腸管の運動や消化吸収の機能を鈍らせます。
だからこそ、勉強法の工夫だけでなく、腸のコンディションを整えることを戦略に組み込むことには価値があるのです。
ウイルスから身体を守る「最大の砦」
本番直前に風邪やインフルエンザにかかって体調を崩すのは、今までの努力が報われない最悪のシナリオです。
実は、免疫細胞の約70%は腸管粘膜にあることがわかっています。つまり、腸の粘膜は最前線で腸内細菌と協力して外敵と戦っているのです。しかし、そのバリア機能が弱るとウイルスや細菌に対して弱くなるだけでなく、アレルギー症状の悪化や慢性炎症を招くことになり、集中力や持久力が弱くなります。
ですから、腸を整えることは、感染症のシーズンを乗り切る体づくりそのものなのです。そのためには、十分なたんぱく質、鉄・亜鉛・ビタミンD、そして発酵食品や食物繊維で腸内細菌にエサを与えるといった、地味な積み上げが、試験当日、最高のパフォーマンスを発揮できるようになるのです。

