試行錯誤を繰り返し、満を持して生まれた「太田胃散S」
明治12(1879)年6月に太田胃散を創業した太田信義。信義は胃弱だったため、当時名医として名高かった緒方洪庵の娘婿である、緒方拙斎に薬を処方してもらった。それが、「太田胃散」の誕生につながり、創業から現在まで146年という長い年月の間、日本人の胃の健康を助けてきた。そしてこのたび、実に44年ぶりとなる処方変更が行われたのである。
前回の処方変更を行った80年代は、バブル期と重なり、胃の不調の原因は飲みすぎが多かったようだが、しだいに健康志向の人が増えたことで飲みすぎによる胃の不調は減少。しかしその一方で、食生活は肉類を中心とするものへと変化し、胃もたれなどが増えてきた。「食生活が変化する中、私たちの製品はこのままでいいのだろうかという葛藤は常にありました」と太田氏は言う。
これだけ長い年月にわたって親しまれてきた製品なのだから、愛用者にも引き続き使ってほしい。そのため、特徴的な味や香りに影響が出るような処方変更は行わないことに決めた。しかし、新たな処方を検討する中で味や香り、粉の粒度で満足いくものを作るためにはいくつものハードルがあった。
「『太田胃散』は自然由来の生薬を使っているので、原料の産地や採取時期によって味や香りに微妙な違いが出てしまうことがあります。また、『太田胃散』は散剤なので、粉の粒度を少し変えるだけで飲み心地が変わってしまったり、製造工程に大きく影響が出たりしてしまいます。しかし、同じものを守り続けることも大事な一方で、食生活が変わる中で会社として世の中への貢献の仕方も変えていかなければなりませんでした」と太田氏は振り返って語る。さまざまな試行錯誤を重ねた結果、ようやく満足できる品質のものが完成し、満を持して世に送り出すことになった。それが2025年10月に発売となった「太田胃散S」である。
製品名/「太田胃散S」「太田胃散〈分包〉S」(第2類医薬品)
現代の食生活に合わせ、制酸力や消化力をアップ
今回のリニューアルで打ち出したのは「変わる良さ」と「変わらない良さ」だ。
「変わる良さ」として、現代の食生活による胃の不調に対応するため制酸力と消化力を見直した。制酸力とは胃酸を中和する力のことだ。今回のリニューアルでは、出すぎた胃酸を中和する制酸剤の配合内容を改良し、制酸力が32.5%アップ(※)。また、消化を助ける消化酵素であるビオヂアスターゼの配合量を増やし、消化力も12.5%アップ(※)した。

「変わらない良さ」は、ケイヒやウイキョウをはじめとする自然由来の7種の健胃生薬とl-メントールによる爽やかな服用感である。生薬が弱った胃の働きを良好にし、飲みすぎや胃もたれなどの胃の不快症状や食欲不振を改善する。また、生薬特有の芳香や味を生かすことができる散剤を維持することにもこだわった。
このように「太田胃散S」はさまざまな胃の不快症状を改善する複合胃腸薬だが、胃腸薬は使ってもらうためのハードルが意外と高いという。太田氏は「例えば二日酔いになってもつらい症状を我慢する方が多いのです。若い方でも我慢しているとダメージが胃に蓄積し、パフォーマンスが低下してしまうこともあります。飲みすぎ・食べすぎはもちろん、食欲がない、胃が重い、胃がシクシクするといったときに使ってほしい」と語る。
太田氏自身、会食に出席する際には「太田胃散〈分包〉S」を常に持ち歩く。飲み会や食事会を楽しく終えて、翌日も変わらず過ごせることがゴールだと考えるからだ。クリスマスには家族と普段とは違う料理やケーキを楽しむが、食後に胃の不調を感じたときには「太田胃散S」を飲むようにしているという。
※「太田胃散」との比較で理論値を基に算出
「おなかから日本を元気に」スローガンに込めた思い
同社は、代々広告に力を入れてきた。というのも、胃腸薬のユーザーはファーストチョイスからブランドチェンジをしない傾向が強いからだ。ドラッグストアの胃腸薬の棚には常時約300種類の商品が並ぶため、いかに最初に選ばれるかが勝負となる。
代表取締役社長
太田淳之(おおた・あつゆき)
1983年生まれ。研究開発部のグループマネージャーや常務取締役業務推進部長などを経て、代表取締役副社長および代表執行役員を務め、2021年10月1日より現職。
そのため、特に2代目以降は認知度の拡大に注力してきた。太田氏の祖父に当たる4代目社長は、読者にもなじみがあるであろう、ショパンの「プレリュード第7番イ長調」をBGMに「ありがとういいくすりです」というフレーズを採用したテレビCMを世に送り出した。
さらに、若年層や女性、子どもにもファンになってもらいたいという思いから、太田胃散公式PR大使「太田胃にゃん」が誕生した。手には粉をすくうさじを持ち、背中には「太田胃散」の缶を背負っている。現在、「太田胃にゃん」は高校の吹奏楽部や著名人とコラボしたり、全国各地の郷土料理づくりにチャレンジしたりするなど積極的に活動している。その様子は各種SNSで見ることができる。
「当社は『おなかから日本を元気に』をスローガンに掲げています。食べることは本来楽しいことですし、胃が元気なら心も元気になれると思うのです」と太田氏。その根底には創業者が唱えた理念「奉仕の精神を以て良品を世におくる」がある。
「愛用してくださる方の健康に少しでも当社の製品がお役に立てるのであれば、それが私の考える『奉仕の精神』です。たまたま縁があってこの家に生まれ、会社経営もさせてもらっている立場として、消費者の皆さんが楽しく食事をしながら元気な毎日が送れるようサポートしていきたいですね」
忘年会・新年会シーズン真っ盛り。仕事仲間と、あるいは家族や親族と会食する機会も増えるだろう。しかし会食が続くと胃も疲れてくる。そんなときに「太田胃散S」を思い出してほしい。
