地域のハブ機能も担い事業や価値の創出を後押し
――今回の商号変更の背景や狙いから聞かせてください。
株式会社横浜フィナンシャルグループ
代表取締役社長
1990年横浜銀行入行。鴨居駅前支店長、ロンドン駐在員事務所長、執行役員総合企画部長、東日本銀行取締役などを経て、2022年6月より現職。横浜銀行代表取締役頭取も務める。
【片岡】前商号の「コンコルディア」はラテン語で「調和・協調」を意味する言葉で、経営統合から約10年が経過し、グループ内の融和は着実に進み、名称は一定の役割を果たしたと考えました。国際性や多様性、地域ブランド力を備えた「横浜」という都市名を商号に冠することで、“地域金融グループ”としての立場、そして地域に根ざす覚悟を示すべく、商号を変更いたしました。
――地域金融機関として、特にどのような役割を担っていきますか。
【片岡】神奈川、東京で事業を展開する私たちにとって、それら地域の発展に貢献することが大事なテーマです。法人約25万社、個人約500万人のお客さまが抱える課題はますます多様化、複雑化しています。例えば今、労働力不足、インフレなどがビジネスや暮らしに大きな影響を与え、また気候変動や生物多様性などの問題も中長期ではボディーブローのように効いてくるに違いないと考えています。そうした中で金融仲介機能を担うだけでなく、付加価値を提供しながら課題解決を支えていくのが私たちの役割です。
――どのように付加価値を提供しながら課題解決を支えていきますか。
【片岡】一つには「地域のハブ」としての機能をさらに強化していきたいと考えています。多様な知見や技術力を持つお客さまや地域の大学、行政のつなぎ役となり、新たな事業や価値の創出を後押しできるのは、地域に広範なネットワークを持つ私たちの強みです。横浜銀行ではこれまでにも、大学と企業の連携をコーディネートしたり、地域の脱炭素推進に貢献するために、神奈川県内の31の自治体が参加する「地域脱炭素プラットフォーム」を立ち上げたり、多くの実績を有しています。
――地域との関わりでは、横浜市で開催される「2027年国際園芸博覧会」(GREEN×EXPO 2027)への参画も発表しています。
【片岡】会場内の空間演出を支援する「魅力創出プロジェクト」に横浜銀行が協賛しています。地元のイベントを盛り上げることで地域の活性化に貢献したいと思っており、事務局に社員の派遣も行っています。
株主還元と戦略的投資を両輪で進めていく
――現在の中期経営計画では「リレーションシップ・バンキング(※)」の強化も掲げています。
【片岡】かねて使われている言葉ではありますが、あえて中期経営計画に盛り込みました。なぜなら、信頼していない相手には誰も課題を打ち明けないと思いますし、お客さまとの関係性こそがソリューションビジネスの土台となると考えているからです。横浜銀行と東日本銀行は100年超、神奈川銀行は70年超の歴史があり、その中で支え、支えられながら私たちはお客さまと信頼関係を築いてきました。変化の激しい時代、目の前の事象に意識が向きがちですが、積み重ねてきた歴史も大切にして、担当者などが変わってもそれを引き継いでいく。これは私たちがお客さまに選ばれる地域金融機関となるために欠かせない要件だと考えています。
――横浜フィナンシャルグループの資本政策についても教えてください。
【片岡】25年度~27年度の3年間にグループで3000億円超の利益を確保していく計画で、株主の皆さまにしっかり還元していきたいと考えています。配当性向は40%程度を目安としています。同時に戦略的投資も積極的に進めていきます。長期的に利益を還元し続けていくには、私たち自身の成長も欠かせません。いかなる戦略に基づく投資なのか、どのように成長につながるのか、説明責任を果たしながら効果的に資本を活用していく考えです。
直近の戦略的投資の一つにL&Fアセットファイナンスの子会社化があります。不動産担保融資を専門に手掛ける会社をグループ化したことで、これまで銀行で必ずしも十分に応えられなかったニーズに対応できるようになり、お客さまへのソリューション提供の幅も広がりました。私たち自身、地域のお客さま、そして株主の皆さまの三方にメリットをもたらすまさに戦略的投資の好例といえます。

――事業戦略の実現に向け、どのような組織づくりを行っていきますか。
【片岡】一言でいえば「変化を恐れない組織」。これを目指します。私自身、金融危機をはじめ従来の常識が全く通用しなくなる事態に多く直面してきました。その経験を通じて強く感じるのは、変化に身を置き、それに向き合うことで、個人の適応力やスキルが高まり、結果として組織も強くなるということです。今後も想像を超える変化は必ず訪れる。それを成長の機会にできる組織をつくっていきたいと思います。
――最後にステークホルダーへのメッセージをお願いします。
【片岡】私たちのステークホルダーは、お客さま、株主・投資家の皆さま、従業員、地域社会です。それぞれの当社に対する期待は異なりますが、全てのステークホルダーに同じ船に乗っていただき、同じ方向を目指す。そのかじ取りを行うのが社長である私の使命だと考えています。使命を果たすためにも、地域の発展への貢献を基本に、その中で当社自身も成長し収益を上げていく。それを株主・投資家の皆さまに還元し、企業価値を高め、さらに地域の発展に貢献していく。そうしたサイクルをより確かなものとしていきます。当社が長期的に目指す姿として掲げている「地域に根ざし、ともに歩む存在として選ばれるソリューション・カンパニー」の実現に向けて今後も尽力していきますので、新たなスタートを切った横浜フィナンシャルグループにご期待ください。
※金融機関が顧客との間で親密な関係を長く維持することにより、蓄積された情報をもとに貸出などの金融サービスの提供を行うことで展開するビジネスモデル。