2008年水インフラにおける官民連携を見据えて設立。国内外の「水道」「下水道」「資源リサイクル」において「環境エンジニアリング事業」「システムソリューション事業」「運営事業」「海外事業」の4事業を展開。持続可能な水・環境インフラの実現に貢献している。
1963年生まれ。87年慶應義塾大学商学部卒。日本ガイシ株式会社入社。2008年メタウォーター株式会社営業本部西日本営業部副部長、15年執行役員事業戦略本部長、19年取締役執行役員事業戦略本部長。21年より現職。
当社は主に、浄水場や下水処理場といった「水インフラ」における施設の設計・建設、運転・維持管理、事業運営を行っており、国内でトップクラスの実績を有しています。これまで長きにわたって各自治体の皆さまが発展に尽力してきた水インフラですが、事業に関わる職員数がピーク時と比べると6割にまで落ち込んでおり、また施設の老朽化などに伴う事故、日本各地で頻発する自然災害への対応など、さまざまな課題に直面しています。
リソースが不足している自治体の力だけではいずれ水インフラの持続が困難になる、そうした背景の中で国は、官民連携方式である「ウォーターPPP」の導入拡大を打ち出しました。主要な水インフラにおける、官民連携の3割~4割に参画している当社としても、官による適切なコントロールの下で、民のノウハウを積極的に活用していくことが、これからの望ましい姿ではないかと考えています。水道事業において全国で初めてのコンセッション(公共施設等運営事業)方式を採用した「宮城県上工下水一体官民連携運営事業」がクローズアップされたこともあって、水インフラの持続にわれわれのような民間事業者が深く関わっていることを知られるようになったのは、ありがたいと感じています。
拡大する海外市場 「技術」で存在感を発揮
このような状況下、案件の大型化などを要因として受注環境はポジティブです。加えて当社の特徴としては、海外事業がとても好調であるという点が挙げられます。
世界的に水資源の不足がさけばれる中で、北米やヨーロッパにおいても「水が圧倒的に足りていない」という問題に悩まされています。再生水や下水汚泥の有効活用といった領域でのソリューションが強く求められており、欧州レベルの環境規制の厳格化にも対応できる当社グループ独自の技術は、海外の成長市場で大きな優位性を発揮するでしょう。私自身もM&Aに関わった子会社の米アクアエアロビックシステムズ社を通じて北米地域に展開する水処理技術「クロスメディアフィルター」が急速に普及拡大しており、当社の成長を支える柱の一本となっています。都市部中心の展開から米国全土へと拡大していく段階を迎えており、マーケットが膨らみ続けている状況です。
さらには、機械のスペースがコンパクトで、かつ従来よりも大幅に少ないエネルギーで高度な下水処理を可能にする新技術の導入も開始しました。米国ではすでに10カ所ほどに導入され、近い将来、国内への展開も見据えています。われわれの事業は長期的なスパンで市場を捉えることが重要です。先行投資、人材の育成、技術開発といった「まいてきた種」が、今まさに芽を出し、本格的な開花に向かっているところです。
多様なパートナーとの連携が課題解決の推進力を生む
ステークホルダーの皆さまからの期待値が上がっていることを裏付けるトピックスとしては、当期業績予想を「中期経営計画2027」の2期前倒しでの達成となる、売上高2100億円、営業利益130億円に上方修正するとともに年間配当も70円に増配することとしました。中期経営計画の新たな目標は26年4月に公表する予定です。
設立20年、そして30年へ向けて、今後も当社の強みである「機械技術と電気技術の融合」を最大限に生かし、水インフラの持続に貢献していきたいと考えています。例えば、施設全体を制御して最適化することでカーボンニュートラルを促進する、さらには、AIやIoTを用いてさまざまなデータを一元管理し、どのような処理が効率的なのかを数値化して複数の施設に展開していく、そうした取り組みも加速させていきたいと思っています。
先進的な技術を取り入れて新たな仕組みを整えていくとともに、人材育成においては、コミュニケーション力や、「人を束ねる力」などを伸ばしていくことが欠かせないと考えています。「ウォーターPPP」のように自治体や時には異業種と連携しプロジェクトを推進していくには、チームとしてうまく機能できるようマネジメントすることが必要です。「ウォーターPPP」によって、官民連携が加速する中、対象の地域において人材を発掘し、育てていくことを意識していきたいと思っています。
人口は減少していき、国や自治体の財政においても先行きが見通せない時代です。繰り返しになりますが、水インフラの持続には官民連携は避けて通れません。そして、その役割は、もちろん当社1社だけで果たせるものではありません。理念を同じくするさまざまなプレーヤーとの連携を推進力に変えて、目の前の課題と向き合っていきます。