今年8月以降、日経平均株価の最高値がたびたび更新されるなど、金融市場が激しく動いている。そうした中、改めて投資への関心を高めている人も多いだろう。すでに近年、個人の投資人口は大きく増加しており、個人の証券口座数は2022年6月に約3051万口座だったのが25年6月には約3922万口座となっている(※1)。3年間で30%近く増加した形だ。

こうした動きをさらに後押ししそうなのがインフレである。ご存じのとおり、物価が上昇すれば現金の実質的な価値は目減りする。仮に3%のインフレが10年間続いたとすると、1000万円の実質的な価値はおよそ740万円になってしまう。資産価値を守るためには何らかの対抗措置が必要だ。

インフレに強い資産としては、企業の収益に連動して値動きする傾向がある株式や投資信託、またそれ自体が価値を持ち急激には価格が下落しにくい現物資産などが挙げられる。外貨建ての資産の保有も国内のインフレ対策の一つの選択肢だろう。

認知バイアスが合理的判断の妨げに

資産運用を進めるに当たって知っておきたいキーワードの一つに「メタ認知」がある。「自らの思考や判断を客観的に把握し、それをコントロールすること」を意味する言葉だ。なぜ、資産運用において「メタ認知」が重要か。それは、人が認知バイアスに陥りがちだからである。

例えば、多くの人は「利益を得ること」よりも「同額の損失を被ること」を強く嫌う傾向がある。“損失回避”と呼ばれるバイアスで、これによりいわゆる「損切り」が遅れてしまう事態が発生する。他にも、異常事態が発生しても一時的なものと考えてしまう“正常性バイアス”、自分に都合の良い情報ばかりを集めてしまう“確証バイアス”などがあり、それらが合理的な判断を妨げる要因になるわけだ。

仮に、金融機関において次のようなサービスがあった場合、あなたは金融商品を 購入したいと思いますか。(それぞれひとつずつ)
金融庁「リスク性金融商品販売に係る顧客意識調査結果」(2024年7月)より。「投資未経験・検討者」の部分を抜粋。

認知バイアスから逃れる手段となる「メタ認知」。これをサポートするものとして、現在はAIを活用したロボットアドバイザーなどが注目を集めているが、一方で人によるアドバイスも見逃せない。金融庁の調査(※2)によれば、「仮に、金融機関において次のようなサービスがあった場合、あなたは金融商品を購入したいと思いますか」との問いに対して、上のグラフのとおり、「担当者による資産運用やその手続きに関するアドバイス等」と回答した人の方が割合は高かった。

いずれにしても合理的な判断を積み重ねていくことは資産運用で成果を上げる大事なポイントだ。いかに「メタ認知」を確保するか。自分なりの方法を見つける必要があるだろう。

※1 日本証券業協会「会員の主要勘定及び顧客口座数等」より。
※2 金融庁「リスク性金融商品販売に係る顧客意識調査結果」(2024年7月)より。

資料請求&プレゼントのご案内

本特集の協賛企業様の資料をご希望され、アンケートにお答えいただいた方の中から、抽選で3,000円分のギフトカードを5名様にプレゼントいたします。以下よりご応募ください。