実りの秋、食欲の秋が到来し、さまざまな味覚が楽しめる季節となった。一方、この夏は特に暑さが厳しく、長引く残暑で疲れを感じている方も多いのではないだろうか。食べ過ぎや飲み過ぎ、ストレスによる胃の不調も出やすくなるが、特に多忙なビジネスパーソンは、耐えられないほどではないからといって、つらい症状をがまんしながら日常生活を送らざるを得ないことも多い。そんな症状のうち、胸やけ、もたれ、胃痛を和らげてくれるのが、胃酸分泌抑制成分を配合したタケプロンsである。

胃の不快な症状に悩む人は増えているが、市販薬に十分に満足していない人も多い

厚生労働省の調べによれば、仕事や職業生活について強い不安や悩み、ストレスを感じている人は8割以上にのぼる(厚生労働省「令和5年 労働安全衛生調査(実態調査)」)。そこから、胃の不調があらわれることも少なくない。

「当社が胃の不快症状を持つ方を対象に調査したところ、直近1年間の経験症状は、胃もたれ・胃痛・胸やけ・胃酸逆流がトップ4となりました」と話すのは、タケプロンsを販売するアリナミン製薬マーケティング担当の長田尚樹氏だ。長田氏によれば、これらの症状から、仕事や家事に集中できない、食事や睡眠をとるのがつらい、出かけたり人と話したりすることもおっくうになるといった深刻な悩みを抱えている人も多いという。

胃に症状を持つ人の直近1年間の経験症状

ただ、同社の調べでは、症状があっても医療機関を受診せずに市販薬で対処する人の方が多く、処方薬で対処する人の推計1.7倍存在することがわかっている。その理由は、受診へのためらいによるものだ。「待ち時間が長い、病院に行く暇がない、医師との相性が不安など、受診へのハードルを感じている方も多いようです」と長田氏は言う。

長田尚樹(おさだ・なおき) アリナミン製薬株式会社 プロダクト戦略本部 第二マーケティング部 課長代理(取材当時)
長田尚樹(おさだ・なおき)
アリナミン製薬株式会社
プロダクト戦略本部
第二マーケティング部 課長代理(取材当時)

胃の不調に市販薬で対処している人でも、そのうち約半数は市販薬に十分に満足していない。その理由として飲みづらさや効き目、持続性の問題があげられるという。

服用した市販薬の満足度と不満内容

これから年末年始のシーズンを迎えるが、胃腸薬市場が活況になる時期である。会食の機会が増える上に繁忙期によるストレスが重なり、胃の不快症状が出やすくなるためだと思われる。その前に、今から準備をしておきたい。

胃酸分泌に関与する物質を抑制するカギとなるPPI(プロトンポンプ阻害薬)

胃の不快症状の多くは胃酸分泌によるものだ。胃酸は食べ物の消化を助けたり体内に入ってきた細菌を殺菌したりする役割もあるが、その一方で分泌過多などになると不快症状をもたらす原因にもなってしまう。症状を和らげるには胃酸分泌の抑制が不可欠だ。

そのカギを握るのが「プロトンポンプ」と呼ばれるたんぱく質である。胃酸は胃の粘膜の壁細胞という細胞から分泌されるが、その壁細胞内で胃酸分泌の最終段階を担っているのがこのプロトンポンプなのだ。

「胃の粘膜にある壁細胞には、ヒスタミン・アセチルコリン・ガストリンという3つの神経伝達物質が作用する受容体があります。この3つの物質と受容体が結びつくことで胃酸が分泌されるのですが、これらの物質の作用があっても胃酸分泌の最終段階であるプロトンポンプの働きを止めれば、胃酸の分泌を抑制できるのです。この働きを持つのが、PPI(プロトンポンプ阻害薬)という薬です」と語るのは、同社の学術担当の川上亙氏だ。

従来の総合胃腸薬では、分泌された胃酸を中和する成分を配合したものが多い。また、「M1ブロッカー」「H2ブロッカー」と呼ばれる成分を配合したものもあるが、これらが関与するのはそれぞれ1つの受容体のみである。一方、PPIは神経伝達物質の関与にかかわらず胃酸を分泌する最終段階をブロックするため、強力に胃酸分泌を抑えることができるのだという。

現在OTC医薬品(市販薬)として販売されているPPIには、ランソプラゾール・オメプラゾール・ラベプラゾールナトリウムの3つの成分があるが、いずれも同時期にスイッチOTC医薬品として承認された。スイッチOTC医薬品とは、医療用として処方されていたものが薬局やドラッグストアで入手できるようになった医薬品のことだ。

川上亙(かわかみ・わたる) アリナミン製薬株式会社 プロダクト戦略本部 サイエンスコミュニケーショングループ 主席部員
川上亙(かわかみ・わたる)
アリナミン製薬株式会社
プロダクト戦略本部
サイエンスコミュニケーショングループ 主席部員

PPIを配合し、胸やけ、胃もたれ、胃痛を和らげるタケプロンs

このPPIの一種であるランソプラゾールを配合するのが「タケプロンs」である。ランソプラゾールはおよそ30年前の1984年にアリナミン製薬の前身である武田薬品工業で開発され、1992年には日本国内で医療用医薬品「タケプロン」として発売。胃の不調で医療機関を受診したときに、この名前を聞いたことのある人も多いのではないだろうか。そして、この度「タケプロンs」との名称で、OTC医薬品として2025年8月に発売された。

タケプロンsの効能は、「胸やけ・もたれ・胃痛」であるが、差別化を図るための工夫が「口腔内崩壊錠」という剤型である。口腔内崩壊錠とは口の中の水分により崩壊する錠剤のことだが、2025年10月現在、この剤型で作られている市販のPPI胃腸薬はタケプロンsのみだ。

錠剤の表面には赤っぽい色の粒が見えるが、この粒は1錠あたり約5000粒入っており、1粒1粒が有効成分ランソプラゾールに直径約0.3mmの7層のコーティングを施したものだという。その理由を川上氏はこう説明する。

「PPIは酸に弱いという性質があるため、胃酸に触れないよう有効成分をコーティングする必要があります。さらに少しでも早く吸収部位である腸に届かせることも大切です。

胃には幽門と呼ばれる出口の部分があり、普段は閉じていますが、胃に食べ物が入ってきたときや空腹時に、胃の中を空にしようと一定時間ごとに幽門を開いて胃を動かすことで、胃の内容物を腸に送る仕組みがあります。この幽門は閉じているときでも2mm程度の隙間が空いているので、胃の動きにかかわらず有効成分を吸収する腸に素早く届けるために、細粒の大きさを2mm未満にしています。また細粒の大きさをそれよりもさらに小さい約0.3mmにしているのは、口の中で細粒のザラザラ感を感じさせないためです」

このコーティングは苦みを和らげる役割も果たしている。さらに、苦みを軽減するためにイチゴ風味であるのもタケプロンsの大きな特徴である。だからといって味が口の中に残るわけではなく、さっと引くようにしてあるので、後味も残らない。

また、パッケージデザインにもこだわった。医療用医薬品のタケプロンのロゴとカラーを使用することで、医療機関でタケプロンを処方されたことがある人が気づき、信頼感を抱かれるよう企図されている。また、シンプルで洗練されたデザインからも、効き目の高い商品という印象が感じられる。

水なしでいつでもどこでも飲めて、効果は24時間持続

市販薬を利用する人の不満な点として、飲みづらさや効き目、持続性があげられていたが、タケプロンsにはそのいずれの声も生かされている。まず、タケプロンsは口腔内崩壊錠のため、症状がつらいときに水なしでいつでもどこでも飲める。たとえば、大事な会議やプレゼンを控えて胃がムカムカ、キリキリしているとき、移動中や会議中といった水分が摂りづらい状況でもポンと口の中に放り込むだけですむ。「効果は24時間持続するので服用は1日1回でよいのですが、薬の成分の血中濃度が濃くなりすぎたり薄くなりすぎたりしないよう、毎日決まった時間に服用しなければならないことに注意が必要です」と川上氏は言う。

さらに、病院の処方箋なしで入手できるようになったのも忙しいビジネスパーソンにとって嬉しいポイントだ。ただ、タケプロンsは購入の際に薬剤師による服用可否の確認と服薬指導を受けなければならない「要指導医薬品」となっているため、薬剤師がいる薬局やドラッグストアで購入する必要がある。医療用のタケプロンよりも入手のハードルは下がったものの、長期服用はしないようにしたい。川上氏も「3日間服用しても症状が改善しない場合、また改善は見られるものの2週間経っても症状が残る場合は重篤な病気が隠れている可能性があるので、必ず服用を中止して医療機関を受診してください」と念を押す。

胃の症状に悩む人々をサポートするために生まれたタケプロンs。長田氏も「調査をしてみて、胃の不調に深刻な悩みを持つ方がこんなにいらっしゃるのかと驚きました。そのため、『つらい悩みを持つ方々に寄り添って、QOL(生活の質)を向上できるように少しでも貢献したい』という想いのバトンを社員同士でつなぎながら、発売まで準備をしてきました」と語る。胸やけや胃もたれ、胃痛がつらいときにはがまんせず、まずはタケプロンsで対策してはいかがだろうか。今のうちに胃の調子を整え、来たるべき年末年始のシーズンに備えよう。

長田尚樹氏、川上亙氏

・製品名
「タケプロン®s」(要指導医薬品)
・発売日
2025年8月1日(金)
・容量
14錠(14日分)
・希望小売価格
2508円(税抜価格:2280円)
・効能
胸やけ、もたれ、胃痛(本剤は胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬を含んでいます)
・用法・用量
次の量を、口中で崩壊させて服用するか、水またはお湯で服用すること。
・15歳以上1日1回1錠。
・2週間を超えて続けて服用しないこと。

〈用法・用量に関連する注意〉
(1)用法・用量を厳守すること。
(2)1日1回同じ時間帯に服用すること。
(3)症状が治まった場合は、服用を止めること。
(4)本剤は口腔内で崩壊するが、口腔の粘膜から吸収されることはないため、唾液または水でのみこむこと。

・特徴
胃酸逆流などによる胸やけ、胃もたれ、胃の痛みに
医療用と同じ成分、ランソプラゾールを市販薬で初めて配合
1日1回1錠で、24時間効く
水なしで飲める口腔内崩壊錠

・有効成分
1錠中
成分 ランソプラゾール
含量 15mg
添加物:乳糖水和物、セルロース、炭酸Mg、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、タルク、酸化チタン、D-マンニトール、メタクリル酸コポリマーLD、ラウリル硫酸Na、ポリソルベート80、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、クエン酸トリエチル、マクロゴール、ステアリン酸グリセリン、三二酸化鉄、クエン酸、クロスポビドン、アスパルテーム(L-フェニルアラニン化合物)、ステアリン酸Mg、香料